2019/07/30(火) 22:30〜23:20 プロフェッショナル 仕事の流儀「ジェラート職人・柴野大造」[解][字]

どこよりも深く 実態に迫ります>
そのジェラートは
食べた人に驚きを与える。
誰もが 素材の圧倒的な存在感に
目をみはる。
そのジェラートを作った男は
世界最大規模のコンテストで優勝。
世界一の称号を手にした。
優勝作品は パイナップルとリンゴに→
なんとセロリを合わせたジェラート。
苦手な人も多いセロリの爽やかな甘みを存分に引き出し→
男磨きに余念なし。
ちょっとナルシスト?
だが ジェラートへの思い→
どこまでも… 一途。
その胸の奥底に 父との葛藤。
父の愛した牧場を自分が潰したという自責の念。
北陸 金沢から車で20分…
ここに ジェラート職人 柴野の店はある。
この日は 初夏をイメージした→
新作ジェラートを作るという。
電卓を取り出し 素材に含まれる水分を
細かく計算し始めた。
それは 水分量にあると柴野は言う。
滑らかな舌触りを実現するために最適とされる水分量は→
68~78%。
グラム単位で割り出しレシピを組み立てる。
更に 柴野ならではとされるのが
糖類の使い分け。
例えば 最も使うグラニュー糖は


水分0%。
9%の水分を含む。
柴野は 水分の割合を自在に操る。
水分量を完璧にコントロールできた時→
素材本来の味が浮かび上がる。
故に柴野は
1gたりとも狂いを許さない。
抜かりなく 緻密に… 作り上げていく。
柴野は言う。
そのためなら 何をもいとわない。
まずは 店を共に切り盛りする家族。
配達に来ていた人まで。
計14種類のジェラートが出そろった。
昼下がり。 行列ができた。
緻密な計算に基づき驚きのジェラートを生み出す柴野。
だが テクニックだけでは
理想には たどりつけないという。
2,000種類のジェラートを生み出してきた
柴野にとっても→
アスパラガスは初の挑戦。
(池口)うまいやろ? 甘いやろ?
あ~ こだわり?
(池口)うん そやね…
池口さんを質問攻めにし始めた。
アスパラガスの甘みは 極めて繊細。
それを生かせるか。
繊細な甘みを生かすため→
糖分は 甘味度の低い
デキストロースを選択。
そこに生クリームを加え 青臭さを丸める。


更に アスパラガスと相性のいいオリーブオイルを加え コクを出す。
肝心のアスパラガスは
農家の池口さんが教えてくれたとおり→
電子レンジで加熱した。
計算どおりの滑らかさ。
繊細な甘みはどうか。
今度はジューサーで搾り その汁を使う。
そこに バナナとキウイを合わせる。
アスパラガスをアクセントとして生かすねらい。
アスパラガスの繊細な甘みが
バナナに負けた。
くっそ…。
フフフッ ほんとに。
柴野が意外な行動に出た。
アスパラガスをゆでる。
農家の池口さんが
甘みが逃げると指摘した方法。
そのゆで汁 2,030gを用いるという。
甘みが逃げた ゆで汁にこそアスパラガスの本質があると考えた。
うん!
その新作を 柴野はショーケースの真ん中に据えた。
食べてもらいたい人がいた。
柴野さんは 1975年 石川・能登で生まれた。
実家は牧場。 父 大盾さんが
一から開拓した土地で→
50頭の牛を放牧。
父の情熱が こもっていた。
でも 成長するに従い
相反する感情が湧き上がってきた。
東京の農業大学に進学。

この人のようには生きられないと思った。
そんな時
ジェラート作りの話が舞い込んだ。
借金返済の足しになれば…。
24歳の時 柴野さんが中心となってジェラート店を出した。
1日の売り上げは
1万円に満たないこともザラ。
冬は 売り上げが更に悪化。
借金返済の足しどころか家の借金を更に膨らませた。
牧場を閉めようと思う。