2019/12/29(日) 23:00〜23:30 美の壺・選「新年を祝う 雑煮」[字]


ひきな雑煮が出されます。
3日目までは お正月なの。
もう お正月が 今度だんだん遠のいていくわって→
私は

子ども心に さみしかったのよ。
食べ物も
ふだんの方に だんだん返るの。
もとへ返る。
ひきな雑煮は ハレの正月から→
日常へ


ゆっくりと戻るためのもの。
味付けは ふだんのみそで。
具は 餅と野菜 油揚げだけでさっぱりと。
…というところに
私 いい事があると思います。
…だと思っておりますよ。
鈴木さんが受け継いだ2つの雑煮。
どちらも
大切な ふるさとの味です。
草刈さん。
えっ まさか まだ 雑煮の事考えてるんですか?
あ~ そういえば
僕が初めて作った お雑煮。
料理本で全国の雑煮 見てたら→
もう決められなくなっちゃってね。
もう 何でもかんでも
放り込んじゃって。
しゃけとか豆腐とか
もう ごちゃごちゃで→
もう 大変な
具だくさんになって。 ハハッ。
友達に振る舞ったんだけどね
大笑いされた。 ハハハハ…。
はあ お雑煮…。
婦人雑誌の編集を通して→
さまざまな生活道具に
関わってきました。
片柳さんが雑煮椀に使う
特別なうつわがあります。
漆塗りのお椀。

明治時代に作られたものです。
鳳凰と桐の蒔絵が施されています。
25年ほど前に母から譲り受けました。
ちょうど
父が亡くなって3年ぐらいで→
妹も結婚して 弟も結婚して→
家族が それぞれ みんな独立していきましたので→
母も
家族で一緒に食べるという事が→
なくなったと
思ったんでしょうかね。
持っていきなさいって言われて。
このお椀には→
片柳さんの家族の歴史が
刻まれているといいます。
もとは
祖母のカツさんが持っていたもの。
カツさんは
女手一つで子どもたちを育て→
富山の菓子店を
切り盛りしていました。
お椀は
もともと 20客もあった事から→
店の従業員に雑煮を振る舞ったと
考えられています。
その後 母の英子さんが
結婚する際に→
譲り受けました。
歌人として活躍しながら子育てにも奮闘。
正月には このお椀で雑煮を出し→

家族みんなでにぎやかに食べました。
片柳さんは
今でも大切に使い続けています。
そういう こう…
お正月になると 何か…
雑煮は
祖母と母の出身地である 富山風。
赤巻きと呼ばれる
名産のかまぼこが入ります。
祖母と母から受け継いだ
雑煮とうつわ。
懐かしい人を身近に感じる
ひとときです。
今日 最後の壺。
「ハレの日をともに迎える」。
京都御所に程近い 漆器の老舗。
創業は 1661年。
ずらりと並ぶ お椀の中で
一回り大きいのが…
京都の伝統的な雑煮椀は
とてもシンプル。
男性用は
外も中も朱色の総朱。
女性用は 外側が黒で
内側が朱色の黒内朱。
家族全員が自分用の雑煮椀を
持っている家も→
少なくありません。
…という形であつらえていきます。
京都・左京区に住む