これは 巨大地震が病院を直撃する想定の実験です。
救えるはずの命を守れなくなる。
そんな懸念が高まっています。
近い将来 確実に起こるとされている
南海トラフ巨大地震や 首都直下地震。
生き延びた命が 医療の崩壊によって→
危機にさらされるおそれがあるのです。
…みたいなことがですね
現実的に現場では起こってくると思う。
26年前の今日。
日本の災害医療は→
あまりにも厳しい現実を
突きつけられました。
6,434人が犠牲になった 阪神・淡路大震災。
一命を取り留めたにもかかわらず適切な医療を受けられずに亡くなった→
「未治療死」が 相当数に上ったのです。
最新の研究でも未治療死の課題が明らかに。
南海トラフ巨大地震で→
8万人以上が犠牲になるという試算が出たのです。
分かりますか? 歩けますか?
今後 直面する巨大災害で→
医療の崩壊を食い止めるために
何ができるのか。
阪神・淡路大震災をきっかけに作られた
DMATです。
発災直後に
全国から駆けつける この医療チーム。
AIの導入で
更に進化を遂げようとしています。
巨大災害の時
どこに医療が必要か 瞬時に把握し→
人や物資を届けようとしています。
今 危惧されるのはコロナ禍と巨大地震の複合災害。
より厳しい状況を想定した議論も
始まっています。
救えるはずの命 未治療死を
食い止めるために 何ができるのか。
阪神・淡路大震災から26年
日本の災害医療の現在地を見つめます。
災害医療に携わる医師や
データサイエンスの専門家による→
新たなプロジェクトが始まりました。
テーマは「未治療死」。
災害時 一命を取り留めながらも→
その後 必要な治療を受けられずに亡くなることを指します。
研究リーダーを務める 日本医科大学の
布施 明教授です。
布施さんが
未治療死をテーマに据えたのは→
そこに救えたはずの命があると
考えたからです。
阪神・淡路大震災で犠牲になった
6,434人のうち→
地震による
家屋の倒壊などで亡くなった→
直接死は
およそ85%に上ります。
しかし 直接死を詳細に検証すると→
病院に搬送された時点で必要な治療を受けていれば→
命を落とさずに済んだケースが
あったことが見えてきたのです。
病院にたどりつきながら
医療の手が届かずに亡くなる未治療死。
おはようございます。
その現実に直面した遺族がいます。
西宮市に住む 横山則子さんです。
26年前のあの日 横山さんの住む地域は壊滅的な被害を受けました。
木造2階建ての自宅は全壊。
横山さんと2人の娘は無事でしたが→
1階で寝ていた夫の吉孝さんは
崩れた家の下敷きになりました。
地震から およそ8時間後→
吉孝さんはレスキュー隊によって救出されました。
右半身に大けがを負っていたものの→
会話ができるほど意識はしっかりしていました。
吉孝さんが運び込まれたのは
市内の民間病院でした。
一命を取り留めたと
安どしたのもつかの間→
院内に入ると
想像を絶する光景が広がっていました。
発災直後 被災地の病院は
負傷者が次々に運び込まれ→
混乱を極めていました。
横山さんが被災した西宮市の基幹病院の映像です。
震災当日だけで 300人以上のけが人が
搬送されてきたこの病院。
しかし 職員の多くが 自らも被災。
病院に駆けつけることができたのは→
全体の6割にとどまっていました。
更に 医療を継続するために欠かせないライフラインも止まり→
患者を受け入れる能力は
極度にひっ迫していました。
(取材者)今 患者さんは
どのぐらいいるんですか?
概算ですけど…
(取材者)まだまだ運ばれてるみたいですが。
まだね…
26年前 このインタビューに答えた小林 久さんです。
救命救急の専門医でしたが→