◆20点。
身内びいきすごっ。
◆クレープ屋さん自体はもとからずっとやっているんですか。
◆いや、2人とも会社員で、
脱サラみたいな感じで、
突然クレープ屋さんおいしいとか
言い出して。
◆ご主人が?
◆えっ、あり得へんみたいな。
◆急に?
◆突然。
◆勝算があったんですか?
◆知り合いの知り合いみたいな感
じですごくもうかってはるクレー
プ屋さんがあって、やるとか言い
出して。
◆奥さんはそのときは専業主婦や
ったんですか。
◆証券会社で働いてたんですよ。
◆エリートですやんか。
◆バブルのときですね。
◆めちゃくちゃええとき。
そのときの
証券会社のボーナスって、どれぐ
らいやったんですか。
◆1回で100万円以上もらって
ました。
◆うわあ、ちょっと聞いた?
100万円、
何個売らなあかんの?
はっきり言うて。バナナチョコクリーム。
何個売って、
しかも、何個利益なんねんという話。
◆でも何か楽しかったし、
まあいいかなみたいな。◆やり手サラリーマンだったご主
人は、ブーム直前のクレープに目
をつけ、
25年前に転身。
その読みは見事に当たり、2年後には心斎橋店もオープン。
夫婦二人三脚で仕事を切り盛りし
てきたんです。
◆ご主人は何してるんですか。
◆2年前に亡くなっちゃったんです。
きょう命日なんですよ。
◆さっきの服の話、すいません。
こたつの布団言うてた。
最低。
最低やで。
◆51歳だったんです。◆若いなあ。
◆何か、
前の日からちょっと風邪ひいて、
せき出るとか言うてて、
ちょっと…。◆病気で寝込んでいたんじゃない
ですか。
◆病気じゃなくて、本当に普通に
帰ってきて、せきとまれへんとか
言って、風邪薬を渡して、朝も何
かちょっときょうはお仕事休むみ
たいな感じで。
夕方から病院に行きって言ってた
んですよ。
私は仕事してて、よく考えたら、
2階が住居なんですけれども、
何かトイレにもおりてきてなくて、あれ?とか、
おなかもすいてないのかなと思って、ちょっと見に行ったんですよ。
倒れてたんですよ。
◆ええっ!
◆救急車の方、見てくれて、
何か見たけども、もう亡くなってから
ちょっと時間がたってたみたいで、だからもう何にもしませんって言
われて。救急車呼んだら助かると思ってた
ら、何か変な考えなんですけれど
も。
◆そうか、ほんなら、それは結局
何やったんですか。
◆心不全でした。
◆心不全かあ。
◆ずっと泣いてたんですよ。
◆その5日間ぐらいで、
5キロやせたんですよ。
秋が来て、
冬が来て、お正月が来たら倍ぐら
いふえたんですよ。
復活したんですよ。
◆強いですね。
亡くなったはずやなのに、
◆一瞬で戻って。
もっとふえたんですよ。
◆もともとはご主人の意思で始めたここですから、
ご主人おらんかったらやめようと
か。
◆本当にやめようと思ったんです
よ。
◆何で続けられたんですか。
◆お客さんもいてるし、
1人で泣いてるよりも店やってる
ほうが
人気出るし。
◆みんな家族みたいなもんですも
んね。