やってきました。
古生物アーティスト ゲイリー・スターブは→
このアトリエで大昔に滅びた生物に命を吹き込んでいます。
スターブは
世界中の博物館からの依頼で→
絶滅した生き物のレプリカを
多数 作ってきました。
先史時代の魚。
実物大の恐竜。
翼竜も製作しました。
注文さえあればどんな生物でも作ります。
これまで
地球上に存在した生物の→
99%は絶滅しています。
それで私の仕事となるわけです。
いつも絶滅した生物を
追いかけています。
追いつくには
だいぶ後れを取っていますけどね。
数千年 遅いかな。
何千万年 遅い事もあります。
再現する生物と
その生きた時代について→
詳しく知るため
スターブは世界中を訪れ→
化石が発掘された場所を
調査しています。
多くの場合 手がかりは化石。
つまり 骨だけで→
生き物の
正確な見た目は分かりません。
それを何とか再現して→
命を吹き込まなくてはならないんです。
その点 今回は
見た目が正確に分かっています。
私の仕事は
その精巧なレプリカを作る事です。
3Dプリンターで作られたプラスチックモデルが
アトリエに届きました。
ついに彼が来た時は
興奮と緊張を覚えました。
完成までには
何千時間もかかるでしょう。
形だけはエッツィと全く同じですが→
本物とうり二つのレプリカにするには→
まだ さまざまな作業が必要です。
やる事は山ほどあります。
スターブのチームはエッツィを→
昔ながらのやり方で作っていきます。
全て手作業です。
複雑じゃない所は少しもありません。
とてつもなく大変です。
工程は4つあります。
肉付け 質感の再現 彩色
表面細部の仕上げです。
完成までに数か月かかります。
君たちは足から上へ進んでいって。僕は頭から始めよう。
最初の作業は体を黒くする事。
体の輪郭が もっと はっきり見えるようにするためです。
半透明だと
表面の形が見えにくいので→
黒い染料を全体に塗ります。
そうする事で表面が細部までずっと分かりやすくなります。
この作業で
考慮しなければならない事は→
何千とあります。
何百じゃありませんよ 何千です。
次に
特別やわらかい細工用の粘土で→
エッツィの皮膚を再現します。
スターブのチームは樹脂の上に粘土を薄くつけながら→
ミイラの表面の質感を細部まで
少しずつ作っていきます。
皮膚を しっかり再現する事が
チームの大きな課題の一つです。
人間の皮膚の面積は
全部 広げると→
およそ1.8平方メートルになります。
ミイラ化したエッツィの複雑な皮膚を正確に再現するには→
膨大な時間が必要となるでしょう。
ゴムの型を押し当てて皮膚の質感を出そう。
エッツィは皮膚や筋肉などが
十分に保たれた事で→
ほぼ完全な保存状態が
維持されました。
さまざまなミイラの中でも
特にユニークなものといえるでしょう。
ミイラは自然にできたものもあれば
人工的に作られたものもあります。
古代エジプトのミイラは
遺体が腐敗しないよう→
人工的に処置されたものです。
最も有名な例はツタンカーメン王のミイラです。
防腐処理を施され
皮膚を保護するために→
樹脂などの
黒い液体で覆われていました。
一方 自然にできたミイラ エッツィや→
アンデスの山頂で見つかったもの→
泥炭に埋まっていた遺体などは→