2019/03/14(木) 01:00〜01:50 NHKスペシャル「崖っぷちでもがんばっぺ〜おかみと社長の奮闘記〜」[字][再]
目の前の海岸のおかげで順調でした。
三陸には まれな 美しい砂浜に
毎年 大勢の宿泊客が訪れました。
早く上がってきて!
ほら早く! ほら早く!
しかし この地域全体を襲った津波は
観光資源を根こそぎ奪い去りました。
震災後は 海岸線に巨大な防潮堤が築かれ
風景が一変。
広い砂浜は失われ
観光客は姿を消しました。
代わって増えたのが
被災地に来たボランティアです。
大勢が おかみを囲んで にぎわいました。
初めの数年は部屋は いつも宿泊客であふれました。
まさに 復興特需でした。
その にぎわいを見て東京のコンサルタントは→
地域復興の拠点として
もっと設備を充実させ→
売り上げを伸ばすよう助言しました。
おかみも 背中を押されたように宿を改築し→
震災前を超える利益を目指しました。
ところがあれほど多く来たボランティアや→
被災地見学の宿泊客が年々減り
今や 赤字続きです。
おはようございます。
(一同)おはようございます!
11月 被災地を巡る団体がやって来ました。
おかみは いつものように震災の記憶を語り始めました。
その様子を見ていたのが→
宿の番頭 松田一角さんです。
経営が苦しいにもかかわらず
語り部に徹するおかみに→
疑問を感じていました。
ありがとうございます。
おかみの話が終わると→
一行は宿泊もせずすぐ 宿を後にしました。
月に一度 おかみと従業員のミーティング。
2日後に無料のイベントを開くとおかみが切り出しました。
参加者は今度も宿に泊まらないと聞き
皆 不満げでした。
売り上げにつながらない仕事への不満を→
ベテランの黒澤さんが ぶつけました。
震災を旗印に人を呼び込み
宿の存続を図ろうとする おかみ。
それが売り上げにつながらないことに
不安を感じる従業員。
宿の経営は 日に日に悪化していきました。
4月から始まる 毎月110万円の返済。
しかし その余裕はありません。
隣町の大[外:CC510951D048DF24AF4C167F68AE9074]町。
町は 津波で
壊滅的な被害を受けました。
ここにも 復興を支援する
国や県の補助金で→
再建した会社がいくつもあります。
その一つ 水産加工会社のナカショクです。
イカを加工した総菜などを作っています。
3億円の補助金で再建しましたが→
原料の高騰などもあり 売り上げは
震災前の半分ほどになりました。
補助金の返済は 今年2月。
社長の齊藤 勲さんです。
返せなければ倒産です。
12月 補助金を支給している県の担当者が金融機関と共にやって来ました。
担当者は 返済期日を守ってほしいと
切り出します。
齊藤さんは 会社の懐事情を伝え
返済の猶予を願い出ます。
交渉は1時間続きました。
ありがとうございました。
回答は持ち越しです。
齊藤さんには 崖っぷちでもふんばり続けなければならない→
理由がありました。
あの日 津波で→
町民の1割にあたる 1,286人の
死者・行方不明者が出ました。
かさ上げ工事が今も続く 中心部に→
大[外:CC510951D048DF24AF4C167F68AE9074]の町役場があります。
津波が町役場を襲った時 職員だった
齊藤さんの息子が犠牲になりました。
遺体は 18日後に→
役場から4キロ離れた浜辺で見つかりました。
妻の啓子さんも
避難生活の中で→
がんが悪化し
亡くなりました。
その直前まで→
「生きがいの工場は続けるのよ」と励ましてくれました。
亡き家族の思いに応えようと→
補助金に加え 息子の保険金4,600万円を工場再建につぎ込みました。
再建した会社は潰さない。
齊藤さんは そう心に決めていました。
2か月後に迫る返済に向けて→
齊藤さんは動き始めていました。
まだ世に出ていない商品を開発して→
会社をよみがえらせようというのです。
目をつけたのが
地元 三陸のわかめでした。
三陸の名物を味わえる冷凍食品です。