2019/12/29(日) 00:25〜01:25 NHKスペシャル選「戦後ゼロ年 東京ブラックホール 1945−1946」[字]

世界で 最も秩序ある都市といわれる 東京。
しかし
72年前 カメラが捉えた東京は→
欲望むき出しの無法地帯だった。
東京湾から引き上げられた 金塊。
数兆円にも及ぶ
日本軍の隠匿物資の一部である。
占領軍の兵士専用の売春施設。
多くの女性が家族を養うために身を売った。
廃虚の街に 別世界があった。
毎月 100人が餓死する街で→
占領軍の家族は
優雅な暮らしを満喫していた。
戦後ゼロ年 すなわち→
敗戦の日からの1年間を記録した数々の映像が発掘された。
更に 10万ページの
CIA機密文書が公開され→
多くの事実が 明るみに出てきた。
浮かび上がってきたのは人 物 金をのみ込む…
焼け跡に
最初に出現したブラックホールは…
日本軍や占領軍のヤミ物資が
大量に横流しされた。
大金をつかんだ野心家たちが
政治や経済を動かす。
銀座や六本木には→
日本人立ち入り禁止の東京租界が生まれた。
享楽の世界に
外国人マフィアが暗躍した。
そこからは 戦後の大衆文化を担う


才能が現れた。
右翼や大本営参謀は
昨日までの敵 占領軍に寝返り→
スパイ活動や密輸に
手を染めた。
誰もが生き延びるために
ブラックホールに飛び込んでいった。
この番組は ドラマ形式で進行する。
(笛の音)Hey You!
(タケシ)大丈夫ですか?
21世紀を生きる若者が タイムスリップ。
東京ブラックホールに迷い込み
戦後ゼロ年を追体験していく。
米を出せ!
一生もんのフライパン!元は兵隊さんの鉄かぶと。
絶望と野心が せめぎ合う
戦後ゼロ年の東京。
破壊され尽くし
ゼロとなった東京は→
どう立ち上がったのか。
これはほとんど語られる事のなかった→
戦後ゼロ年の東京の物語である。
(店主)お客さん。 お客さん。
ん?
(店主)すいません。そろそろ看板なんで。
はい…。 じゃあ お勘定。
<その夜 酔っ払った俺は→
祖父の亡霊を見た>
<後を追い 気が付けば長い長い地下道を歩いていた>
<暗がりを抜けると


無人の空間が広がっている。→
防空ごうの跡だろうか…>
<壁から にじみ出るように戦争の記憶が映し出されていた>
♪♪「東京ブギウギ リズムうきうき」
♪♪「心ずきずき わくわく」
♪♪「海を渡り響くは 東京ブギウギ」
♪♪「ブギの踊りは 世界の踊り」
♪♪「二人の夢の あの歌」
♪♪「口笛吹こう 恋とブギのメロディー」
<気が付けば
焼け跡で暮らしていた>
<悪夢を見ているのか
地獄へ落ちたのか。→
確かなのは ここには
ほとんど食べ物がないという事だ>
タケシ。
<行き倒れ寸前の俺を助けてくれた復員兵。→
俺を ここに導いた祖父…
だろうか>
聞いたか?
1,000万だぞ!
せっかく
生きて帰ってきたってのによ。
(復員兵)
家も焼けりゃあ 家族も死んだ。
戦争に負けた途端
食い物の奪い合い。
兵隊なんか 相手にされねえしな。
上野じゃ 浮浪児と ごろ寝。
ヤミ屋の手先になってさ。

国は 何にもしてくれねえ!
ひでえもんだよ。
戦地から日本に帰る人々の貴重な映像である。
復員と引き揚げは
9月から本格化し→
620万人が本土へ。
家族も財産も家も仕事も失った人々。
ヤミ商売へ飛び込む人も多かった。
タケシ。
お前も手伝わんか。