副総監が犯人である事を→
期待しているのでは
ありませんかねぇ?
いや… どうも
僕は 底意地が悪いので→
次から次へと
妄想が頭をよぎってしまいます。
どうか お気になさらず。
いや… 今さら 君の物言いにいちいち腹を立てたりはせんよ。
それより 頑張って
早く犯人を特定したまえ。
そうすれば おのずと 私の潔白は
証明出来るわけだからね。
まあ 私は 君らの活躍を
大いに期待しているよ。
(受信音)
(青木のせき払い)
なんか用ですか?
用がなきゃ来ないよ。
手短に。
なんで わざわざお前 病院について行った?
は?
風間楓子の病院だ。
ああ~ そういうのは
下っ端の役目だと心得てますから。
ましてや 社さんが行くってのに
一番下っ端の僕が→
のほほんとしてるわけに
いかないでしょ。
お前 課長から その時
「いらない」って言われたよな?
言われましたよ。
だったら ついて行く事ないだろ。
これだから キャリア崩れは…。
なまじキャリアなんか経験してると→
下っ端の本当の苦労が
わからないんですねえ。
あのね 上の者の言う事を
真に受けてるだけじゃ→
下っ端は務まらないんですよ。
上の者が本心から そう言ってるのか→
しっかり確かめて
行動しないとね。
「あなた 来なくていいわ」
「あっ そうですか」で→
行かなかったのに あとで→
「ああ言われたって普通は来るわよね!」→
「あの子 立場を
わきまえてないわね」なんて→
理不尽な非難をされてから
臍を噬んでも遅いんですから。
君の宮仕え論
非常に興味深く拝聴しましたが→
実は 我々は
もっとシンプルに→
君の病院への同行を
考察しているんですよ。
シンプル?
ええ。
考察って?
お前が犯人だ。
はあ!?
犯人にとっての気掛かりは→
被害者の動向です。
往々にして疑心暗鬼に陥るため→
被害者の言動などを 素直に
受け取る事が出来なくなる。
「誰に押されたか わからない」と
言っているが→
本当だろうか?
実は わかっているのに→
なんらかの魂胆があって
とぼけているのではないか等々→
猜疑心は 底なし沼。
そんな不安を解消する手立ては→
可能な限り 被害者のそばから
離れない事ですからねぇ。
その理屈で言えば 社美彌子だって
犯人の可能性があるでしょ。
ええ もちろん。
じゃあ 社美彌子だ。
根拠は?
犯人は 僕じゃないから。
こんな与太話で
時間 取らせないでくださいよ。
ああ もうひとつだけ…。
お断り!
で 成果は どうでしたか?
そうですねぇ 早々と副総監は容疑者から外れた事でしょうか。
僕の容疑は晴れたの?
だって当夜の副総監の位置からじゃ→
手も届かないし 傘もお持ちじゃ
なかったみたいですし→
突き落としようが
ありませんもんね。
まあ そのとおりだがね。
しかしね そもそも 犯人捜しに無理があるんじゃないかな。
そもそも 突き落としたなんていう
事実はない。
あの