参事官の意図を推し量った結果→
ひとつの結論に達しました。
それは…。
参事官は犯人を知っている。
中園くん 君…。
そんなものは
お前の想像に過ぎない。
ええ。 しかし
僕は間違っていないと思います。
若い衆の報復を受けて→
怒り心頭に発するのは当然としても→
警察側の犯行そのものを
否定しているのですから→
今 現に行われているように→
なんとか あの若い衆を懲らしめてやりたいと→
躍起になるのが自然ですよ。
それが 風間楓子を突き落とした犯人を特定してみろなんて→
真反対の行動じゃないですか。
この変節は 一体 なんなのか。
風間楓子転落事件の
犯人への怒りですよ。
その人物のせいで→
自分は 理不尽な報復を受ける羽目になった。
一生消えない傷を負って…。
我々6人の中に犯人がいると言うのなら→
とっとと特定しろ。
はい?
早く犯人を突き止めてみせろと
言ってるんだ。
その憤りが あなたを
真反対へと突き動かしたんです。
我々への挑発が 報復を受けた
直後のタイミングというのも→
そのせいですよ。
まさしく 怒り心頭に発していた。
若い衆にではなく
風間楓子転落事件の犯人に。
もしも
犯人を知っているのならば→
ややこしい真似せずに
告発すればいいわ。
けれども それが出来ないから
あなた方をけしかけた。
そういう事かしら?
当たり。
平たく言えば 犯人は→
自分の口からは言いづらい人物なのですよ。
もしも僕が犯人なら→
中園くんは ためらいもなく告発してるだろうと思うよ。
ええ そのとおり。
それが社さんであっても同じでしょうねぇ。
あなた方6人は→
社さんのヤロポロク問題の対応を見ても わかるとおり→
二派に分かれています。
ですから 甲斐さんと社課長は容疑者を外れました。
お二人だったならば
躊躇なく告発出来るのに→
参事官が それをしないって事は→
つまり 犯人じゃないって事になりますからね。
随分 都合いい解釈だな。
えこひいきしてるみたいだ。
ああ 早合点しないでくださいね。
この事だけをもって→
お二人を容疑者から
外したわけではありませんよ。
えっ?
風間楓子が転落する直前の皆さんの位置関係を→
もう一度 思い出してください。
せっかくです 再現しましょうか。
ここをエスカレーターとして→
進行方向 向かって右手側に→
甲斐さん 社課長 中園参事官の
順で並び…。
並んで頂けますか?
ご協力お願いします。
そして 左手側は→
内村刑事部長 青木年男衣笠副総監の順でした。
(内村のせき払い)
(ため息)
さて 左右に分かれた6人の間を
突っ切る形で→
風間楓子はエスカレーターに
乗ろうとしたわけですが…。
君ですよ。
えっ… 俺が風間楓子ですか?
他に誰がいるんですか。
嫌ですよ~。
お願いします。
はい…。
まさに!
足を踏み出そうとした その時→
印象的な出来事が
起きましたねぇ。
赤ん坊です。
(泣き声)
(杉下の声)
耳をつんざくような泣き声が→
こちらの方向から。
そうでしたよね?
ええ。