2021/01/17(日) 14:00〜14:30 日本の話芸 笑福亭鶴二 落語「高津の富」[解][字]

♪♪~(出囃子)
笑福亭鶴二でございます。
本日は 私のところは→
「高津の富」という落語で
一席おつきあいを願いますが→
これは 私の師匠
故 六代目 笑福亭松鶴の落語を→
初めて生で見たお噺でございます。
それから もう何年もたっておりますので→
私なりに
いろいろと変えさせて頂きましたが→
どうぞ 最後まで
ごゆっくりとお楽しみ下さいませ。
♪♪~
笑福亭鶴二と申しまして 私のところも→
どうぞ よろしく おつきあいのほどを
お願いいたしておきますけども。
今日は「高津の富」というお噂で
一席おつきあい願いますが→
昔から「運は天にあり
ぼた餅は棚にあり」→
「果報は寝て待て」ってなことを
申しまして→
どんな人でも
一生に いっぺんや にへんは→
この運がつくということが
あるんやそうですが。
このお噺は
大坂の大川町と申しますから→
ただいまの淀屋橋の南詰を


ちょいと西へ入った辺りでございます。
この辺りに 宿屋さんが ずらっと並んでた
時分のお噺でございまして→
ある一軒の宿屋の前に
お立ちになりましたのが→
年の頃なら67~68 田舎風のお方。
小さな風呂敷包みを持ちまして…。
「はい ごめんなはれや」。
「お越しあそばせ」。
「お前さんとこは宿屋さんじゃな」。
「ええ お見かけどおりの旅籠渡世を営んでおりますが」。
「一人でも泊めてもらえますかな?」。
「そりゃ もうお一人さんが お半分さんでも」。
「お半分ってな人がいてるかいな。
いや 私はな この浪速の土地へ→
2万両ほどの金の取り引きで
出てきましたんじゃ。→
まあ 5日ほど やっかいになろうと
思うておりますがな→
今も言うたとおり
金の取り引きのことじゃで→
この5日が10日 10日が半月も
やっかいになるやも分からんねやが→
何かいな
半月もやっかいになるとすると→
宿賃の方は 前もって なんぼか
払わないかんのんかいな」。
「何をおっしゃいますやら 旦さん。
こんな小さな宿屋やっておりますから→
もう どなたさんに限らず


お勘定の方は おたちの節で結構で」。
「ああ そうか。 ほんなら まあ
ともかく泊めてもらうことにしようか」。
「ありがとうさんで。→
これ 旦さんに おすすぎをお持ちしてな」。
「いやいや こないしてな 席駄履いてます。
足は汚れたない。→
なるべく 間は
静かな間にしとくんなされや」。
「承知いたしました。→
旦さんを2階の8番へご案内申せ。旦さん どうぞ こちらへ」。
「はあ やれやれ 落ち着きましたな」。
「はあ お泊まりありがとうさんでございます」。
「おお 主さんか。
さあさあ こっち入っておくんなされ」。
「おぶを持ってまいりましたんで
おぶを ひとつ どうぞ」。
「ああ おおきに。 はばかりさん。
どうじゃな 商いの方は」。
「まあ ぼちぼちと
やらせて頂いております」。
「はあ。 何商売に限らず
ぼちぼちなら ええとせんならん。→
私はな 今も下で言うてたようにな
2万両ほどの金の取り…。→
あっ お前さん わしが
こんな みすぼらしい風してるさかいに→
このおやじ 何者やろうと
思うてるか分からんがな→
私はな 因州鳥取の在の者でな→

ところでは 物持ちとか金持…。→
ウハッ…。 我が口から
こんなこと言うのも何やけどな→
金持ちってなことを言われてますねん。→
まあ これはな こっち出てくるひとつきほど前の話やけどな→
うちの女子衆どもが不精かきくさって→
『旦さん 漬物のおもし石が丸うて持ちにくうございます。→
なんぞ この四角い 持ちよいもんを』
っちゅうさかいにな→
わしが 千両箱を十ほど ボ~ンと