2021/01/17(日) 23:25〜23:55 情熱大陸【パン職人/竹内善之▽88歳現役パン職人は「奇跡の窯」で今日も焼く!】[字]


<そして 電話が鳴り始める>
はい フロイン堂です

(スタッフ)さっきから 電話めっちゃ鳴ってますけど→
何の…
[TEL](着信音)
はい フロイン堂です
<予約が殺到するのはやはり 食パン>
<店に出す前に
売り切れることも>
<スタッフが
他のパンを焼いている間に→
竹内は 早めの昼食をとる>
<味見を兼ねて→
前日に焼いた食パンを
窯でトースト>
(女性)ちょうどええ ハハハ…
(戸が開く音)
(客)すいません…
<やがて 店先に→
くるみパンやドーナツが


並びだす頃…>
<発酵室に入れた生地は→
ぐんぐんと成長を続けていた>
<窯の温度は 350℃と決めている>
<高くても低くてもいけない>
<生地の成長が
ピークを迎えるところを見極め→
窯が適温に達する瞬間に
合わせて 焼き始める>
<生地と温度>
<双方のタイミングがわずかでもずれると→
最高のパンにはならない>
<窯入れも また慎重を要する仕事だった>
<発酵が進んだ生地は繊細で→
わずかな衝撃でも膨らみが逃げてしまう>
<焼き上がるまでの45分→
竹内は 片ときも窯から目を離さなかった>
<途中で位置を変えるのは
内部の温度が均一ではないから>
<表面のきつね色を確かめながら
むらの出ないように動かしていた>
<出来栄えは 今日も上々だ>
(弾ける音)
<窯出しの直後に
聞こえてくるのは→
竹内いわく パンの産声>
(弾ける音)
<どの姿も 皆 美しかった>
(弾ける音)
<午後2時>

<棚に並ぶと同時に予約の客たちが やって来る>
ありがとうございます
ありがとうございます
<女性客は 50年来の常連だった>
あぁ…
これは…
<おいしい食パンには見分け方があるという>
これが…
…と思うんですけど
<生地の気泡が
上に 伸び上がるような断面が→
軽さと 口当たりのよさの証し>
こっち側?うん
<工房では 息子の隆さんが
竹内の仕事を助けている>
<家業とはいえ→
手を抜くことを知らない父親の働きぶりが→
息子には 少々 気がかりだ>
ちょっと まぁ…
あと まぁ ちょっと こう…
(隆さん)でも まぁ 何て言うんですか…
だから 僕は ずっと…
<店が休みの日曜日>
(スタッフ)おじゃまします
はい どうぞ(スタッフ)こんにちは
<程近い竹内の自宅を訪ねた>
(スタッフ)おじゃまします
<玄関先には
相棒ともいえる 窯の絵>
(スタッフ)これ 誰が描いたんですか?

<妻に先立たれ→
店の2階にあった住まいを移して
1人暮らしを貫いている>
♪♪~(スピーカー)
(スタッフ)じゃあ お父さんの…
ここですか?
誰か やっぱり…
<だから このご時世に合わせて
古いパソコンを修理した>
あの~ 電話…
(スタッフ)スカイプとか?
<ネットで 同世代の友人と
話し込むこともあるそうだ>
<1932年 神戸の生まれ>
<店を興した父親が亡くなったのは→
電電公社の技術者だった
35歳の時>
<周囲に請われ 後を継いだ>
<けれど パン職人の技はたやすくは会得できない>
<パンは 生き物>