◆100年以上の歴史を継ぐ五代
目として生まれた東さん。
◆もともと家業をお継ぎになられる意思はあったんですか。
◆小学校のときの文集には、
父親らが喜ぶから
世界一のたんす職人って書いたこ
とはあったんですけれども、
やっぱり中学校、高校って、
ませていくじゃないですか。
家を継ぐというのが、ダサイとか、恥ずかしいとか思ったんですけど、
僕が行った大学では、食堂とかを経営していたイタリアンレストラ
ンのシェフがおられて、そのシェ
フが、もともと実家がカメラマン
さんやって、その方のお父さんが
亡くなられたときに、
俺は料理人として大成したけど、
あのときカメラマンの道を選んでいたらどうやったという話を、
僕にしてくれて、おまえのところ
はもっとすごい、
代々続いてきてる。
それをおまえの代で終わらせてもいいんかという言葉をもらってか
ら、
確かに自分の代で終わらせたら、
アカンなと思い出して…。
◆どうやらとんでもないことになりそうやと。
◆お父さん、どうやったんですか、
継ぐとなったとき。
むっちゃうれしかったん違います
?
◆継ぐって言ったときに、
第一声に言われたのが、
「無理」って言われました。
◆まさかの。
◆おまえじゃ無理。
◆厳しいおやじですねえ。
◆低迷する桐たんす業界に
足を踏み入れた東さん。13年の修業を経て、
伝統工芸士の資格を取得しました
が…。
◆やっぱり、若い桐たんすの職人
が
そもそも少ない。
ただ、
弟弟子であったり、そういう子を
育てて、独立させる。
同じ職種で敵やというのではなく、
この産業自体がつぶれてしまうから、ライバルをつくる。
ライバルをつくることでしいては
産業が
活性化しますよね。
◆切磋琢磨して。
◆そのとおりです。
◆8月下旬、
東さんの工房が何やら盛り上がっ
ていました。
◆そう、
桐の木を自在に加工できる
最新設備を導入したのです。
でも、伝統を継承する職人さんが
機械に頼っていいんですか?
◆東さんの今後目標とは。
◆生きてきた人間というのは「点
」なんですけど、
点と点の集合体が歴史という
「線」になってると思うんですよ。
自分の技術というのも師匠から教
えてもらったもの、
親から受け継いだものを僕がいた
ことで、次の代につながって、
これが歴史に残るということが歴
史の点と点をつなぐ
点になりたい。
◆すごいなあ。
奥深い。
すばらしいですね。
◆僕もレジェンドの漫才師の皆さ
んとの
点と点をつなぎたいなと、
同じ気持ちでやっています。◆ありがとうございます。
◆僕も一緒なんです。
◆ありがとうございます。
◆さあ、
桐たんす職人の東さんが手がけた
ぐい飲み、桐カップ、ビア杯、
茶筒…。◆お持ちしました。
こちらでございます。
◆それちょっと転がったら、
本当に戻るの?
◆これほんまにすごいですよ。
倒しても起き上がってくるんです。◆ねえ。
◆絶妙なバランスなんですよ。◆とんでもない技術でございます
から。
◆熱いお茶なんかでも全然、大丈夫なん?
◆全然ね、伝わりが遅いらしいん
です、
熱さの。
◆これ家でビールも飲ませていただいたんですが、
すごい全然、泡が消えないんです
よ。
◆家で飲んだって、どういうこと