少しの変形でも、
オルガンの音色に影響を与えます。
パイプオルガンは、
ふいごと呼ばれる装置から送られ
た空気がパイプを通ることで音が
鳴ります。
しかし、変形などで、
正確な量の空気が通らないと、
本来の音色が出なくなってしまいます。
また、
鍵盤の左右にあるレバーを動かすことで、
どのパイプに空気を送るかを変え
ることができ、
トランペットやフルートなどの音
色を、
オルガン1台でオーケストラのよ
うに奏でることができるのです。
まずは、
長さおよそ6メートル、
根元が変形していたパイプを、慎
重に取り出します。
潰れていた先端部分はすべて切断
し、
新しい金属と取り替えます。
外側に少しのほこりがついただけでも、
音が変わってしまうほど繊細なパ
イプ。
28年分のごみやほこりは、
パイプの中にまでたまっていました。
作業に当たる職人は多いときでも
1日8人。
3623本もあるパイプすべてを
1本ずつ清掃する途方もない作業。
すべてのパイプを清掃するだけで、
およそ3週間かかります。
特に難しいのが、
リード管と呼ばれるパイプ。
一度分解してから清掃を行い、
再度、
複雑な組み立てを行います。
このリード管だけで、およそ70
0本あります。
この作業を行っているのが、改修の責任者、
都留裕幸さん。
日本でも数少ない、パイプオルガン専門の技術者です。
いずみホールのパイプオルガンは、
建設から携わっている都留さんにとっては、子どものような存在で
す。
>>音色が非常に華やか。それから、
音色のバリエーションが非常に豊
かな、
いろんな時代のいろんな国の音楽
を演奏できるというのは、
この楽器の魅力じゃないかなとい
うふうに思いますね。
ずっとオルガンと共に歩んでいけ
ればなぁとは思いますけど。
>>驚きは、
驚きだったと。
なんだろこれって。
あんまりものすごく長い時間じゃ
なかったので、ただびっくりした
と。
>>6月に発生した大阪北部地震。
フランスの職人たちは、
朝、
移動中の車内で揺れを感じました。
彼らが真っ先に心配したのは、
パイプ。
幸い、
すべて固定されていたので、被害はありませんでした。
6月下旬、
職人たちにとある心境の変化が。
パイプに空気を送る、ふいごの取
り外し。
直接、
のこぎりの歯を入れ、
オルガン本体から1基ずつ切り離
していきます。
ふいごは全部で8基。
とても時間のかかる作業です。
>>恐らくプレッシャーや焦りも
出てくる時期ですね。
>>彼らは、
4か月間ですべての修理を終えなければなりません。
理由は、
10月に開かれるお披露目コンサート。
アメリカで活躍する、
世界的オルガニストが来日します。
遅れは許されません。
そんな中、
さらなる懸念材料が出てきました。
>>金属がもう疲労しているといいますか、
想像以上に確かに劣化してました
ね。
>>ふいごからパイプに風を送る
ダクトの多くが劣化していて、
すべて入れ替える必要が出てきた
のです。
8月、