フランスから来日したのは、
ケーニッヒ夫妻。
このパイプオルガンの設計者で、
オルガンの改修と同様に重要な、
調律をするためにやって来ました。
>>楽器は自分の子どものような
ものだから、
成長を見るのが楽しみだよ。
>>実は、
今回の改修はただ元どおりに戻す
ことが目的ではありません。
パイプオルガンがさらに成長する
ために、
さまざまな工夫が施されたのです。
少しでも空気が漏れ出さないように、
ふいごは8基あるすべてを新品の
ものに入れ替えました。
さらに、
さびやすい金属でぼろぼろになっていたダクトも、
28年前にはなかった劣化に強い
合金に取り替えられました。
>>オーバーホールそのものの目
的が、
今後のまたさらなる30年を、つ
つがなく楽器がちゃんと、
きちんと鳴る、
整備された状態で、
ずっと保持されるというのが目標
ですから、そういう意味では、
今回の作業でそういったところの
懸念が払拭される。
>>職人たちがフランスから来た
日に見た、
先端のゆがんでいたパイプは、
ゆがみのない新しいものに生まれ変わりました。
そして、
元の位置に慎重に戻していきます。
一番大きなパイプには、
特別な工夫が。
>>上でつって、
さらに今後、
もうここに変形が出ないような対
策をしたので。
>>みずからの重みで変形してい
たパイプ。
上からつり下げることで、変形を
最小限に抑えることを、フランス
の職人たちは考えつきました。
パイプをつり下げるための金具の取り付け。
工期も迫る中、時間のかかる作業
ですが、
職人らの熱意によって生み出され
たものでした。
改修作業もいよいよ終盤。
調律は、
都留さんたちが磨き上げた362
3本すべてのパイプに行われます。
厳しいチェックが終わったとき、
改修もようやく終わりを迎えます。
作業開始から3か月。
フランスから来日した10人と、
日本人4人の手によって、
本来の姿を取り戻しました。
ニューヨークで名の知れたオルガ
ニストを迎えてのコンサート。
都留さんたちにとって、
最も緊張する瞬間です。
この日、
700人を超える客を魅了したパイプオルガン。
バッハの名曲とともに、
神々しい音色がよみがえりました。
>>どちらに行くんですか?
>>ホールの中でちょっとだけ聴かせていただこうと思いまして。
>>実は都留さん、
本番中に客席に入るのは初めてです。
>>風漏れがなくなったことが大
きいですね。
ふいごがすべて新しくなったこと
と、
漏れないように全部修理されて、
本当にこう息が非常にしっかり、
風が漏れずになってます。
>>4か月にもわたった改修作業。
千里の道のゴールは、
惜しみない拍手で包まれていました。
>>私も実は入社1年目のときに、
このいずみホールのパイプオルガン、
弾かせてもらう機会があったんで
すよ。
>>そんな機会があるんですか。
>>ホールの中、入った瞬間に、
あの圧倒的なたたずまい。
弾かせてもらうと、本当に音が天から降ってくるんですよ。
すばらしい音色なんですよね。
こういった手入れ、
その賜物なんだなというのは、す
ごく感じますね。
>>なんかパイプオルガンって、
大学のチャペルだったり、
いろんな所にあるんですけど、