2018/12/26(水) 15:50〜17:53 ten.【年末総決算スペシャル!2018年“激動”の朝鮮半島を緊急取材】[字]


あばら骨が浮き出た痩せこけた体が、悲惨さを際立たせている。
戦時中、
朝鮮半島から動員された徴用工の補償問題は、すでに解決済みとさ
れてきたが、ことし、
歴史の闇に再び光が当てられたのだ。
徴用工の像を作っているのは一体
誰なのか。
われわれはその人物を追った。
その工房は、
ソウル市から離れた郊外にあった。
われわれを待っていたのは一人の男性。
すぐに作業場の中に案内してくれ
た。
見せてくれたのは、まさに今、
制作中の徴用工のモニュメント。近く、
除幕式を迎える記念碑を小さくし
た模型だった。
>>あの時代の資料を見ると、
ほとんどの人たちが劣悪な環境で、
生死をさまようような大変な仕事


をされていました。
日本人はやらないような大変な仕
事をです。
その人たちの話をもとに、
当時の状況はどうだったのかと聞いて想像してみました。
>>制作者の名前は、
イ・ウォンソクさん。
現代アートの彫刻家で、大学でも
教べんをとり、
独特の作風は高い評価を集めてい
る。
政治とは一線を画し、

この問題に取り組んでいるという。
>>生きて帰ってきた人もいます
し、遺骨で戻られた人、
まだ帰ってきていない人もいます。
そのほかに日本に住んでいる人もいます。
その人たちの人生の重さ、
歴史的な過程を私の後輩、
子どもや孫の世代が、
どうやったら記憶にとどめることができるのか、また、
その記憶が一体なんになるのか、
結局は記憶と反省なのです。
>>敷地の中にある倉庫には作品
が保管されていた。
メガホンと一体化した犬は、
社会の不正を告発する姿を。
グロテスクな形の物体は、
海洋投棄されたプラスチックごみで死んだ鳥の姿だという。
>>バベルの塔のような建築物で

す。
現代の都市化される社会環境の中
で、
果てしなく続く人間の欲望が建設
され、
破壊されるという概念をここに込
めました。
>>作品のすべてが、
世の中を風刺する現代アートで、
今起きている社会の矛盾を浮き彫
りにするものばかりだ。
共に考え、解決へのきっかけとな
る作品。
日本の植民地統治をテーマに制作
を続ける訳は、戦争とは何かを問
い続けているからだ。
>>私が徴用工像を作ったからといって、
日本に敵対心があるわけではあり
ません。
本質は戦争で、
戦争がどのような時代背景から起きて、
その戦争が最後に行き着いたのは
どこなのか。
当時の朝鮮の民衆と日本はどんな
関係でどのような役割だったのか。
戦争というものを私たちがもう一
度考えてみるべきですし、戦争が
人間を荒廃させて、
その傷がどれだけ長く後世まで残ってしまうのか、つまりトラウマ
として。

>>イさんの作った徴用工の像は日本だけでなく、
韓国社会にも思わぬ波紋を広げて
いる。
今月、
1100人もの元徴用工や遺族たちが、韓国政府に対し、賠償を求
める裁判を起こしたのだ。
今も歴史の着地点を見つけられないまま、
2018年を終えようとしている
韓国。
来年はどうなるのか。
>>ソウルの中心部にあるこの広場には、
来年が韓国にとって、
どんな年になるのかといったことが書かれたモニュメントがすでに
立てられています。
2019年というのは、
日本の植民地統治からの独立を掲
げた抵抗運動が、
本格的に始まった年からちょうど
100年の節目の年になるという
ことです。