2019/12/31(火) 10:20〜11:50 NHKスペシャル選「緒方貞子 戦争が終わらない この世界で」[字]


国連の安全保障理事会は大国の思惑が異なる中で→
軍事介入を見送ります。
一方で 国連は→
UNHCRに ユーゴスラビア市民への
人道支援を要請したのです。
ここでも 緒方さんは
前例のない決断を下しました。
各国の空軍に 協力を要請。
食糧や医薬品など 支援物資を空から届ける作戦でした。
人道機関が


軍隊と共同で空輸作業を行えば→
中立性を損なうという反対論も
ありました。
しかし 緒方さんには
貫き続けた信念がありました。
最終的には…
そこで殺されたらそれまでですから。
空輸作戦の開始から2か月。
ジュネーブに戻っていた緒方さんがユーゴ問題を巡る会議に出ていた時。
これ 本当なの?
イタリアの救援機墜落。乗組員4人全員死亡。
一体 誰がやったの…。

その後 トラックも襲撃され→
輸送作戦の犠牲者は
増え続けました。
支援物資を 対立する民族に
届けさせまいとする勢力が→
攻撃を繰り返したのです。
この状況のままで 人道支援を続ける訳にはいかない。
緒方さんは 行動を起こします。
ユーゴの過酷な現実を国連安全保障理事会で→
直接 訴える事にしたのです。
人道支援を続けるためにも各国が協力して介入し→
紛争を終わらせなければならない。
難民高等弁務官がこの場でメッセージを発するのは→
国連創設以来 初めてでした。
「民族浄化が 今も続いています。人々は 毎日のように→
地雷原や前線を横切って
逃げているのです。→
身の安全を

必死に求めています。→
私は 民族浄化という
忌まわしい行為を→
国際社会全体と共に非難します」。
「そして 私は 皆さんに強調しておきたいと思います。→
皆さんには 人々が安全に
自分の家にとどまる権利を→
尊重する義務があるのです。→
幻想を抱いてはなりません。→
UNHCRだけでは→
多くの人々に もたらされる苦しみや死を防げないのです」。
しかし 緒方さんの訴えにも
安保理理事国の意志は一致せず→
紛争解決に乗り出す事は
ありませんでした。
UNHCRは その後も
人道支援を続けました。
旧ユーゴでの紛争は
7年後まで続き→
犠牲者は 20万人を超えたと
いわれています。
緒方さんは 安保理の対応に
非常に不満を感じていました。
「私たちは孤独だわ」と
言っていました。
紛争が解決しない限り
大量の難民が生まれ続け→
何年たっても 避難先から
戻る事はできないのです。
国際社会が手を差し伸べないまま

失われていく命。
つらい出来事が繰り返された
ユーゴで→
深く心に刻まれた出会いが
ありました。
ふるさとを追われた人々の
避難場所で聞いた 少年の言葉。
何? ちゃんと パン食べた?
ミセス緒方…。
何?
僕を家に…。
えっ?
ちゃんと 自分の家に…帰らせてね。
約束するわ。 もちろんよ。
やっぱりね今でも忘れられないね。
それだけの信頼を 私たちは
受けてるんだと思いましたよ。
それは そうでしょう。
それだから 私たちは→
ホントに 頑張らなきゃいけないな
と思った。
みんなね 自分のうちを捨てて
どこかへ行くのは嫌なんですよね。
一番 嫌な事でしょう。
家を捨てて どこかに避難に行くという事はね。
だから 早く
避難しなきゃならない→
対立 紛争というものを
終えてくださいと。
そういう大変大きな願いを