これまでに蓄積された医療データが活用されています。
先月、中国科学院は
既存の薬のデータベースの中から
新型ウイルスに効果が期待される
30種類の成分を発表しました。
各国からも
既存の薬を投与したあと
症状が改善するケースが
報告されています。
その1つ、タイの
国立ラチャウィティ病院です。
この病院では、先月から
新型肺炎の患者に治療を行ってきました。
入院患者の1人は
肺炎の症状が悪化し
起き上がることができないほど
深刻な状態でした。
≫医師らは、過去の研究で
SARSなどへの効果が報告されていた
エイズの発症を抑える薬と
インフルエンザ治療薬を組み合わせて投与しました。
≫世界中の研究機関で進む
新型ウイルスの対策。
その一方で
突如現れたこのウイルスには
まだ多くの謎が残されています。
新たな死者の情報が日々更新される
中国当局のウェブサイト。
死者の大部分は
高齢者、もしくは糖尿病などの
持病があることが分かっています。
しかし、死者が増えるにつれ
60歳以下で健康な成人の死亡例も
報告されるようになってきました。
ウイルス学者の一戸猛志さんはサイトカインストームという
現象が関係している可能性を
危惧しています。
免疫細胞から出る
黄色く示された物質。
これが、サイトカインです。
ウイルスに感染した細胞。
それを攻撃して除去するのが
このサイトカインの本来の役割です。
ところが
未知のウイルスに感染した場合。
免疫細胞が暴走し
大量のサイトカインを放出
正常な細胞まで
攻撃してしまうことがあります。
これがサイトカインストームです。
≫一戸さんが注目しているのは
同じコロナウイルスの
一種によって
引き起こされた、SARS。
サイトカインストームが起きて健康で若い人たちも死亡しました。
新型ウイルスと
SARSウイルスの
アミノ酸の配列を比較する方法で
サイトカインストームのリスクを突き止めようとしています。
≫アミノ酸配列の一致率は72%。
SARSとよく似た性質を持つおそれがあることが
分かりました。
合原≫サイトカインストームに関しては
一般的に発生頻度は
高くないという研究報告も
あります。
ただ、SARSなどでは起きているため
今回も注意深く
見ていく必要があると
専門家は指摘しています。
虫明≫再びWHOの
進藤奈邦子さんに
伺います。
患者の増加が進んでいますが
WHOとして収束の見通しについては
どんなふうに
見ていらっしゃいますか。
進藤≫WHOのほうでは
現在、このウイルスの
根絶を目指した囲い込み対応を
しているんですけど
緊急課題としては
中国国内はもとより
中国以外の患者発生国から
詳細な情報を集めることが
非常に大切だと考えています。
特に、今回の日本でのクルーズ船での
集団発生ですね。
この詳細な調査結果。
これは今後の対応戦略にとって
大変重要なヒントになると
考えていますので
期待しております。
虫明≫進藤さん
ありがとうございます。
押谷さん、未知のウイルスとの
闘いを
私たちは、どのように
していくべきなんでしょうか?
押谷≫このウイルスとの