2020/03/01(日) 03:05〜03:55 NHKスペシャル選 ホットスポット 最後の楽園(3)「オーストラリア」[SS][字]


戦いの火蓋が切られた。
メスがオスを受け入れるのは

僅か3日。
30分後 勝負がついた。
地面に前足を付けた方が負けだ。
勝ったオスが メスの尻尾を
つかもうとしている。
これが 彼らのプロポーズ。
それに 応えるかのようにメスがオスの背中に触れる。
カップルの成立だ。
アカカンガルーなど有袋類は→
子供が産まれると
母親は袋の中で育てる。
彼らは 僕たち人間と同じ哺乳類。
しかし 繁殖のシステムが随分と違うのだ。
哺乳類は 大きく2つのグループに
分かれます。
その最大の違いは
子育ての方法です。
一方のグループは


私たち人間を含む 有胎盤類です。
母親は胎盤から へその緒を通じて
赤ちゃんに栄養を送ります。
そして 親と似た姿になるまで
大きく育ててから 出産します。
もう一つのグループが 有袋類です。
アカカンガルーの妊娠期間は僅か1か月。
これは 産まれて間もない
アカカンガルーの赤ちゃん。
大きさは2cmもありません。
有袋類は 早い段階で子供を産み袋の中で育てるのです。
有袋類は ほかにも
南米や ニューギニアなど→
一部の地域で見る事ができます。
しかし オーストラリアでは 哺乳類のほとんどが 有袋類なのです。
有袋類の王国 オーストラリア。
その種類は150種以上にもなるという。
地域や環境によって 彼らの姿や
暮らしぶりは 実にさまざまだ。
北部の森林地帯を
住みかにしているのは キノボリカンガルー。
その名のとおり
木の上で生活している。
主食は木の葉。
木をつかむために→
足には 砂漠のカンガルーにはない
長い爪を持っている。
カンガルーと違って 袋の入り口は
後ろ向きについている。
子供は 全部で4匹。

母親は 4か月の間袋の中で子を育てる。
タスマニアデビルは 肉食の有袋類。
鋭い嗅覚で 死んだ小型のカンガルーなどを探して食べる。
(うなり声)
この うなり声。
見かけによらず どう猛なやつだ。
鋭い歯を使って肉を引き裂いていく。
僅か1時間ほどで
平らげてしまった。
人気者のコアラも有袋類。
乾燥したユーカリの森に住んでいる。
主食は ユーカリの葉。
葉には有毒な成分が含まれている。
しかし コアラは その毒を
解毒できるように進化した。
ほかに競争相手がいないため
葉を独占できるのだ。
中には 空を飛ぶ有袋類もいる。
手足の間の膜を広げて滑空し木と木の間を移動する。
多彩な表情を持つ
有袋類たち。
それにしても なぜ→
彼らはこの大陸で大繁栄したのだろうか。
その答えは 有袋類がたどってきた
歴史にあります。
最近の発見から
意外な事実が分かってきました。
これまで見つかっている
最古の化石は→
およそ1億2500万年前のもの。

なんと オーストラリアから遠く離れた現在の中国で発見されました。
シノデルフィスと名付けられた
この世界最古の有袋類。
体長は 15cmほど。
低い木の上で暮らし 昆虫などを食べていたと考えられています。
その後 有袋類は
世界各地に広がっていきます。
ここは ドイツの世界遺産
メッセル・ピットの発掘現場です。
今から4700万年前の地層です。
ここでも 有袋類の化石が見つかっています。
大きさは 10cmほど。
その姿は 中国で見つかったものとよく似ています。
こうした化石の研究から
かつて 有袋類は→
世界中に分布していた事が
分かってきました。
しかし その後
有胎盤類との競争に敗れ→
有袋類は 各地で絶滅していったと