2020/03/01(日) 03:05〜03:55 NHKスペシャル選 ホットスポット 最後の楽園(3)「オーストラリア」[SS][字]


主食にしている草も生えている。
親子のカンガルーがいた。
子供は 生まれて10か月ほど。母親の袋から出たばかり。
まだ 袋の中にある乳首から
ミルクを飲んでいるが→
少しずつ草を食べ始めたところだ。

しかし ここ オーストラリアの内陸部では穏やかな日々は そうは続かない。
どこまでも平らな大地。
雲を遮る山がないため→
いつ どこで 雨が降るのかは
全く予測がつかない。
1か月後。
水場は 干上がってしまった。
鳥たちが 新たな水場を求めて
一斉に この地を去っていく。
ダチョウの仲間 エミュー。
エミューははるか遠くの雨雲を 目で探し→
雨が降りそうな場所へ向かって
移動するという。
アカカンガルーといえども→
最低 10日に1度は水を飲まなければならない。
水がなくなると
彼らは 匂いを頼りに→
別の水場へと移動する。
その距離は 時に 200kmにもなる。
まだ小さい子供にとっては
過酷な旅だ。
しかし もうこれ以上
ここには とどまれない。
♪♪~


夕方。
涼しくなるのを見計らって
親子は 旅に出た。
先の見通しが立たない 過酷な旅。
その時に役に立つのがカンガルー独特の このジャンプ。
長距離を旅するには
欠かせない技だという。
アダム・マン博士は アカカンガルーが なぜ
この不毛の地で繁栄したのかを→
解き明かそうとしている。
その鍵となるのがカンガルー独特の移動方法だという。
(アダム・マン)アカカンガルーが繁栄した
秘密の一つは→
この独特のジャンプにあります。
2本足のジャンプは 馬をはじめとしたほかの4本足の哺乳類に比べて→
はるかに エネルギー効率がよく→
長い距離を 高速で移動できる事が分かってきました。
カンガルーのジャンプ。 その秘密は→
かかとと ふくらはぎをつなぐアキレス腱にある。
カンガルーは ほかの動物に比べ
極めて長いアキレス腱を持っている。
着地をする時
アキレス腱は バネのように→
かかとに引っ張られて伸びる。
伸びたアキレス腱が縮もうとする力で→
爪先が 地面を蹴る。
つまり ふくらはぎの筋肉をあまり使わなくても→
連続して跳ぶ事ができる
という訳だ。
まるで 全身バネそのものだ。

更に 尾にも秘密がある。
空中で跳んでいる間は
尻尾は 上がっている。
着地した瞬間
尾を 下に振り下ろす。
その反動を利用すれば
より大きな加速ができる。
乾燥の大地を生き抜く スーパージャンプ。
一体 どのようにして誕生したのだろうか。
はるか昔 ネズミのような姿を
していた 有袋類の祖先。
ジャンプをするカンガルーが生まれた
背景には→
気候変動が 深く関わっています。
オーストラリア東海岸に位置するクイーンズランド州。
太古の時代を思わせる熱帯の森が
広がっています。
ここに
ジャンプの起源を探る事ができる→
原始的なカンガルーが暮らしています。
DNAの分析によると→
およそ4500万年前に現れた事が
分かっています。
目を引くのは
ひときわ大きい後ろ足です。
この大きな後ろ足で 地面を蹴り
ジャンプをします。
ジャンプは 瞬時に外敵などから逃れる
優れた方法です。
かつて

オーストラリア全体を覆っていた森。
そこには ワニなどの天敵が→
今よりずっと多く暮らしていました。
こうした天敵から逃れるために→
ジャンプは 有利だったと考えられています。
これが カンガルー特有のジャンプの
始まりでした。
その後 乾燥化が進むと→
ジャンプの方法に飛躍的な変化が起こります。
森が縮小するとともに