◆話ししますの。
◆話ししますねん。
やっぱりお友達ですわ。
◆そうですね。
そうやって考えたら。
◆やってみはります？
ここへよう行かんもん。
もしたってよ、くらくらとして
どぼん入ったら、どうしますの。
◆１本、買うてもらいます。
◆せっかくやさかいに、これエプ
ロン…。
これ料理屋のエプロン。
そこまで行かんと怖いよ。
◆どうぞ。
◆これで。
◆かき混ぜてください。ちょっと待ってよ。
◆ぐっと差し込んで、
ぐっと引っ張るんです。◆えっ？
こうでっか？
◆やってみます。
◆ちょっと待って、
立ちくらみするわ。ちょっと、
向こう、行くわ。
◆もう行かはる？
何やねんな。
やったやんか。
怖いねん。
大先輩の師匠の、見よう。
やりすぎやろ。
それ、やり過ぎやん。
◆気合い
◆入れすぎや。
すごい！
ちょっと見て。
◆こんなになるの？
◆発酵してるから、
まぜて…。
◆やってみましょう。◆ちょっと待ってね。
俺ね…。
◆両手で、両手で。そうそう。
そういう感じ。
◆だけど力が入ってるような感じがないですね。
◆やっぱり、長年のわざで…。
◆ちょっと待って、
立ちくらみしてきた…。
◆毎日菌に語りかけ、
発酵・熟成の
状態を管理。
熟練の職人さんだからこそ生み出
せる
味わい深いおしょうゆなんです。
原料には
地元の大豆を使用しているという
こだわりよう。
◆これが
うちの一番基本のしょうゆ。
◆うわあ～、
◆濃いでしょう。
◆濃い。
何じゃ、凝りゃあ！？◆それが普通です、うちの。
◆えっ！？
これは濃いわ。
うめぇ～！
うめ～。
うめえわ。
これすごい！これは、すごいっ！
◆ここで問題。
◆ということで、
もう、あれ、
この樽、
こうやってるの、
冗談ちゃうで。あれ、めちゃくちゃ怖いねん。
というのは、言うたら、こうある
けど、
言うたらここ落ちたら死ぬわけや
んか。
◆死にはしないでしょ？
◆いや、
死ぬ、死ぬ、
入ったら死ぬ。深い深い。
俺みたいなアーチストは、もし何
かあったら
勝手に想像するから怖くなるのよ。◆アーティストって、
ただの怖がりですやん！
◆アーチストよ。
アーチストやから、想像力がすご
いねん。
◆あそこに入っても死なないです
よ。
◆死ぬって。
それを考えると怖いねん！
俺が言ったら
物すごい大げさに見えるけど、
ほんまに怖いねん。あんなんなれてる人やないと無理。
さあ、八木さん、違う、違う、
問題は
そういう事じゃなくて、人気ナン
バーワンのおしょうゆの商品があ
るんです。