ちょっと待ったって言って、
ちゃんと告白できた、やっと。
◆そう、
今しかないことが
突然起こるんです。もうこれは胸が苦しい。
僕だけでしょうか、ごらんいただ
きましょう。
どうぞ。
◆どうしたの？
◆告白したんよね。
◆どこで？
◆ＪＲ大阪のホームで。
◆かっこええ。
かっこええことすんな。

ホームで？
◆仕事帰りに
駅までは一緒なんで、
彼女が京都線やって、
僕が環状線やって、
そこでバイバイ。


ほんで、
もうあかんと思って、
告白しようと思って。◆ちょっと待って。
それもうあかんというのは、
これ以上無理やと。
僕のこの胸が
許せないと。
張り裂けんねやろ？
◆うん。◆恋してんねや、もう。
◆そうですね。
◆電車に乗って、私は発車を待っ
てたら、乗って来はったんですよ
ね。
◆しまったら終わりや。
しまったらあかんから、それを引
きずり出したん？
◆そうです。
ちょっとおりて言うて。
◆ちょっとおいでって言って、
外へ出した？
◆そこで告白して。
◆ちゃうやん。
そこは…。
こら！
こら！
俺が一生懸命聞いてて、ドキドキ
しながら、そこで告白してやあれ
へん。
あほか！
一番大事なところや。

どない言うたんや！
そこやんか！
◆ええっと、何やったかな。
◆この男、また…。
酔うてないやろ？
はっきり言えよ。
◆まあ、何か好きやから、
◆「すごい好きー」って叫んでた。
◆すごい好き！って言うてしまったんやないか！
胸が張り裂けて、我慢できんで、
すごい好きって
言うたんや。
◆死んでしまうぐらい好きーって。
◆今の気持ちをトランペットで吹
け。
恥ずかしい気持ちをここでトラン
ペットで一つ。
♪～
◆もういい。
せきを切ったんですよ、
この人。
僕は君を死ぬほど好きやってホー
ムのところで
ばあって
今までたまってたものがせきを切って流れてくる。
もうとめられないわ。
この人をとめることはできないん
やわ。
命がけやん。
命がけで好きやって言うたんや。

奥さん、届いたでしょう。◆いや…。
◆おい！
疲れた。
もうこの２人はあかん。
これもらってください。
「となりの人間国宝さん」に認定
させていただきます。
お二人に。
どうぞ。
◆「すごい好きー」と
大阪駅でご主人が奥様に一世一代の大告白。
そう、あの日、
大阪駅を発車した
２人の愛を乗せた列車は結婚とい
う終着駅に
到着したのです。
◆今度はほんなら
結婚してくれのプロポーズがある
でしょう？
◆そうですね。