骨を割るって
書いたりしているんですよ。
そしたら、
朝イチから炊かないと、
８時間、１０時間、炊くんで、
家の中で。
骨を割るんですけど、
割れないんで、借りたところが１
階のベランダがあって
下、コンクリートやったんで、
そこでビニール敷いて骨を割って。
というのを繰り返していたら、
何かピンポンって鳴って、何日か、
ある日来て、
ピンポンと鳴って、あけたら、お巡りさんが来て、近隣の方が
朝から何か
カンカンやってる音とかが聞こえて、
と言われて、骨、１人で割ってる
んですよ。
◆それは怖いわ。
冷静に考えたら。
俺、嫌やわ、
毎朝、骨砕いてる人、見たら怖いわ。
怖過ぎるわ。
◆こわっ！
◆そんなにこにこしながらやって
ないでしょう。
真顔でずっとコンコンやっている
んでしょ？
◆でもきれいに割れたら結構気持
ちいいから
たまに笑うんですよね。
◆うわあ～！
恐怖やわ！
それで警察はどうなったんですか
？
◆一緒に入ってもらって、
◆説明して？
◆説明して、ラーメンをつくって
るって言って。
◆署に帰って、ラーメンですわ～
って。
◆うわあ…。
もちろん、お客さんは来ないでし
ょう？
出だしはどうでしたか。
◆出だしは
１日４人とか。
◆ということは、ほんなら、
赤字？
◆赤字ですね。
◆給料は、ほんなら、給料という
か、出なかったんですか。
◆給料出なかったですね、２年半
ぐらい。
◆長っ！
ようやめずにやりましたね。
◆結婚は？
◆結婚は、して…ましたね。
◆そのとき？
◆ちょうど２９歳やったんですけ
ど、結婚するか別れるか決めてっ
て言われたんです。
３０を目前にね。
向こうも勝負や、これ。
勝負、かけてきて。
◆今？って思うじゃないですか。
◆一番忙しいときですよね。
結婚しようって…。
◆奥さんは働いてたんですか？
◆働いてました。
◆ほんなら、逆に言ったら、
奥さんに食べさせてもうてるって言ったら、
悪いけど。
◆その通りや思います。◆よかったですやんか、
それ迫られて、奥さんに。
◆ラッキーでした。
◆ラッキーやわ。
◆結婚してたから、
２年半、できたわけでしょう？
◆はい。
◆一番最初、手にとった給料って
覚えてます？
◆覚えてます、覚えてます。
◆それは幾らぐらい？
◆５万円。
◆でもうれしいですね、この５万
は。
２年半、赤字の５万やから。
◆家に持って帰って、給料出たで
って言って。
◆そら、奥さん、喜ぶわ。
◆で、
何ぼ、もろたん？
５万円もろたでって言ったら、
少なっ！って言われて。
でも、よう頑張ったねって言われて。
◆優しい奥さん。
◆奥さんが家計を支えたことで
ラーメンづくりに没頭できた斎藤