た。
>>やっぱりね。
>>向こう、
一冊の台本なんてないんで、撮影
のときに。
その日やるシーンを、
こういう感じでやってくれってキャストに言って撮影するっていう
スタイルなんで、だからストーリ
ーもよく分かんないんですよ。
>>どうしましょう、何しゃべっ
てるか分かりませんよ。
もう無理ですよ。
>>せりふも聞こえなければ、台
本もない。
これでどうやってドラマを作ればいいのか、窮地に追い込まれた。
と思いきや。
>>いや、逆にいいんじゃない?
好き勝手、
吹き替えられるじゃん。>>逆になんかね、全部自分でで
きるんだみたいな。
撮影以外、
全部俺やっていいんだみたいな、
そっちのほうが大きかったかな。
>>こうして吹き替え経験ゼロの
飯田さんによる開き直りの演出が
始まった。
>>いしまるさん、ここのせりふに、
浩雲登場!って付け足しちゃいま
しょう。
>>えっ?
でも明らかに何もしゃべってない
ですよ。
口も動いてないし。
>>いいんです!この方がおもし
ろいから。
>>おもしろいって、あなた、あ
ら、口が動いてなくてもお構いな
しなの?
ほんで、
キョンシーと戦う、こんなシーン
では。
>>ぎょぎょ。
>>ぎょぎょって言ってるけど、
口は閉じたまま。
そして、
このあとのシーンでも。
>>くさり回転。くさり回転。
>>全く口は動いてないのでぎょ
ざいます。
さらにこんなひと言まで言っちゃ
ったりして。
>>おめでとう。
いやーっと。
>>当時の声優にとっても、異例
な仕事だったという。
>>私たちの仕事は、
口パクに合わせるっていうのが、基本なんですよ。
そういうセオリーを無視して、口
が開いてなくても、
心の声でぶっこんでくるとか、怖
いもの知らずっていうか、知らな
いからこそ大胆にいろんなことが
できちゃうっていう。
>>しかし、この大胆すぎる吹き
替えが日本の子どもたちには大受
け。
>>自分はおもしろいと思ってやってるから、本当にこう、
子どもが楽しんでくれるものを作
りたいと思って、そればっかり考
えてやってたから。
>>視聴率は初回から上々の滑り出しだった。
こうなると、はちゃめちゃな吹き
替えは、さらにエスカレート。
>>あっ、ここ、
おならの音を入れて。
歩きながらおならしてるようにし
よう。
>>おならの音ですか?
いいんですか?
>>いいの、いいの。
おもしろいから。>>おならの音まで勝手に追加。
>>実際のシーンがこちら。
芋を食べていたスイカ頭が、立ち上がり、歩き出そうとすると。
これも当時の子どもたちには大受
け。
>>本当、うまくいったからいい
けど、向こうの人が、お前、
ふざけんなって言ってきて、
こっちがお前らがいけないんだろうって、けんかになったって全然
おかしくないわけだし、俳優が、
俺の演技を台なしにしてるって言ってきてもおかしくないわけだし
、トラブルなんて、起きるときは
起きるからね。
そういう意味では本当にもう一回
やれって言われても危ないってい
う感じだよね。
今はできないですよ、たぶん。
>>まさにでたらめともいえる吹
き替えの実態を、
テンテンを演じたシャドウ・リュ