<パトカーに 進路を ふさがれた一台のバス>
<その車内には…>
<乗客の証言どおり興奮状態の男の姿が>
<男の名は…>
<スラムの出身で強盗を 繰り返し→
二度 収監された過去を持つ
札付きの人物だ>
<座席に 身を隠そうとする
ジャナイーナに→
拳銃を 突き付ける様子も
映っている>
<今度は 別の女性を 締めあげ
周囲を 威嚇>
<おびえる女性に…>
<何か ささやいているのも見える>
<バスを 囲んでいたのは→
銃を構える警察だけではなかった>
<大勢の やじ馬と…>
<駆け付けた…>
<その中に テレビ局のリポーターバネッサ・リッチェも いた>
<犯人を最も近くで見た 一人だ>
<確かに そこには→
ぎりぎりまで 近づこうとするテレビクルー>
<しかし…>
<銃を 振り回しいら立つ サンドロは…>
(サンドロ)バンバン! バン!
<銃声をまねて 叫んだ>
<その直後…>
(銃声)
<撃った>
<ブラジル リオデジャネイロで発生した バスジャック事件>
<女子大学生 ジャナイーナたち
11人を→
人質に取った 犯人 サンドロは
ついに…>
(銃声)
(銃声)
<こうした 立てこもり事件が
生中継されるのは→
ブラジルでは 初めてのこと>
<前代未聞の テレビ中継に国民は 釘付けとなった>
<もはや サンドロの行動を
予測することは できず→
現場は 異様な緊張に 包まれた>
<と そんな中…>
<人質の一人が バスの外へ>
<なぜ 急に 解放されたのか?>
<そして サンドロは
立て続けに バスから…>
<実は これこそが
サンドロの 狙いだった>
<なぜなら
これで バスの中は…>
<非力な女性と
高齢者ばかり>
<これで 警察は
手も足も 出なくなった>
<サンドロの行動は
ますます 異常性を 増していく>
<乗客から かばんを奪い→
なぜか 口紅を 手にすると…>
(サンドロ)立て。
立て。 早くしろ!
<ジャナイーナに 目を付けた>
<いったい何を させるつもりなのか?>
<サンドロは ジャナイーナに
銃を 突き付けたまま→
窓際に 立たせると…>
<口紅で 窓に 文字を書かせ始めた>
<ブラジル中が 固唾をのんで
生中継を 見詰める中…>
<果たして サンドロの
メッセージは…>
<その生中継を→
胸 かきむしられる思いで見詰める人物がいた>
<ジャナイーナの父だ>
<都会へ 送り出した 娘が→
なぜ こんな目に
遭わねばならないのか?>
<父が 思わず
頭を抱えたのには 訳があった>
<実は ジャナイーナは 過去に→
家族を失う 大事故に→
巻き込まれていたのだ>
(クラウデミル)私の母。 妻。 妹。そして 友達。
<たった一人
生き残ってくれた 天使>
<そんな娘が 今 悪魔のような
凶悪犯の 手の中にいる>
<そして ジャナイーナが
書かされた 恐怖の宣告>
<「人質全員を 殺す」>
<史上最悪のバスジャック事件>
<人質となった ジャナイーナは
バスの前方に 連れていかれると→
再び メッセージを
書かされていた>
<続けて 書かれた文字に
ブラジル中が 震撼した>
<しかも