2019/01/21(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀▽前人未到の偉業、その先へ 囲碁棋士・井山裕太[解][字]


今 世界の頂点を見据える井山さん。
だが その裏には 5年前に喫した
痛恨の敗戦がある。
一年で最も難しい戦いが幕を開ける。

囲碁の世界一を決める 国際トーナメント。
井山は日本代表として出場する。
かつては 世界最強を誇った日本の囲碁界。
だが近年は 中国 韓国に追い越され→
主要大会では8年以上優勝から遠ざかっている。
特に手強いのは 中国。


世界戦を7度制した古力。
そして今 実力世界一と目される
陳耀[外:C74711D104576F3282206D8DE2C92958]。
世界のトップを独占する勢いを
見せている。
昔はね 日本で名人だったら→
日本の名人は世界の名人だったわけですけど→
今は そうではないので。
なので まあ もう一度そういうふうに言われるようにしたいという思いは→
まあ 僕もあるし 日本のね 今の棋士は
みんな思ってることでしょうし→
日本のファンの方は
それを願っていると思いますので はい。
日本を代表する棋士として。
誇りを懸けた戦いが 始まろうとしていた。
(飛行機のエンジン音)
井山は 韓国に降り立った。
世界一を決めるトーナメント
LG杯に臨むためだ。
1回戦で井山は 中国の若手を撃破。
続いて 韓国のトップ棋士も破り準々決勝に駒を進めていた。
いよいよ次の対戦は
現在世界最強と呼ばれる 陳耀[外:C74711D104576F3282206D8DE2C92958]。
中国の棋士たちが到着した。
対戦相手の陳。
独特の威圧感を放っていた。
井山にとっては 長年の強敵だ。
初めて戦ったのは 小学生の時。
子供相手で負けたことのなかった井山が同い年の陳に完敗を喫した。
中国の棋士は

競り合いでの読みが めっぽう鋭い。
井山は序盤から独創的な手を放ち→
相手の読みを超えた展開に持ち込みたいと考えていた。
対局当日。
井山は いつものように先に対局室に入った。
先番 黒は陳。
序盤 陳は井山の独創性を封じる手を打ってきた。
日本で かつてよく打たれた定石だ。
既に研究し尽くされており新たな展開には持ち込みにくい。
別室では 韓国の棋士たちが
戦況を見守っていた。
井山が動いた。
黒を小さく押し込め左側を大きく押さえようという大胆な手。
♪♪~
長考の末 陳が強烈な手を返してきた。
左上を強化し 孤立した白石を脅かす。
そこを足がかりに 井山が狙う左側に分厚くプレッシャーをかけてきた。
井山 孤立した石を守る。
一手先んじた陳はすかさず打ち込んできた。
一手ずつ後手に回る 苦しい展開だ。
井山は 形勢を挽回する急所の一手を探り続ける。
井山が 強攻な一手を返した。
左側は絶対に渡さないという気迫を込めて懐をえぐった。
韓国の名棋士…
盤上左側を巡って 乱戦となった。
陳は 重圧をかけてくる。
形勢は僅かに陳有利。
対局開始から4時間。
井山 82手目。
左の局面を一度離れた。

陳の重圧をはぐらかし新たな場所へと誘う一手。
だが陳は 井山の誘いには乗らなかった。
更に下から 左側を攻め上げる。
形勢は 一気に陳に傾いた。
井山は粘るが 陳は的確に返してくる。
開始から5時間半。
ついに投了に追い込まれた。
井山の自在な手を 完全に封じ込めた陳。
これが 世界一の実力。
控え室では 各国の棋士たちが
この一戦を検討する。
井山は30分 部屋から出てこなかった。
控え室に現れた。
遠巻きに検討を見つめる。
並べ始めたのは勝負をそらした あの場面。
あの手を選んだ自分とは 何か?
心は 揺らいでいなかったか?
井山は 碁盤をにらみつけていた。
あの敗戦を 今井山さんは どう振り返るのか?
あれから5年。
井山さんは特に 中盤から終盤にかけての判断力が 増したと言われる。
有利な状況で 確実に勝ちきる。
それに加え 不利な状況からの逆転劇で勝利を重ねてきた。
それが前人未到の7冠制覇を生み
国際棋戦での活躍を支えている。
その活躍の 裏の思いとは?
今 29歳。 20代前半のライバルも次々台頭する中で→
井山さんは どんな今後を
見据えているのか?
♪♪~(主題歌)