2019/12/31(火) 10:20〜11:50 NHKスペシャル選「緒方貞子 戦争が終わらない この世界で」[字]


キャンプの治安を取り戻すには→
フツ族の兵士を
引き離す必要がありました。
緒方さんは
国連のガリ事務総長に→
国際部隊を派遣するよう求めます。
この日の回答に大きな期待を懸けていました。
結論から申し上げましょう。
私たちは 39か国に対し→
難民キャンプに 軍を派遣してほしいと
要請をしてみました。
しかし 派遣すると答えてきたのは
たった1か国でした。
たった1か国…?

なぜだか言いましょうか。
みんな うんざりしているんです。
アフリカの出来事には もう誰も関心を持とうとしないんですよ。
一種の差別と言えるでしょう。
誰も アフリカで起きている問題のために→
自分の国の若者たちを


死なせたくないという事です。
♪♪~
ソーレン。はい。
どうしました?
きっと うまくいくわ。
何です?
まず やると決めて→
動き出しましょう。
♪♪~
緒方さんは
これまで例がない形で→
キャンプの治安を
回復しようとします。
難民を受け入れている
ザイールの軍隊に→
UNHCRが直接
キャンプの治安維持を依頼する。
それは 国際社会の常識を覆す
決断でした。
国連の部隊以外は
紛争地で中立を守れないと→
考えられてきたからです。
各国の協力が得られない中緒方さんは→
ザイールの軍人に 訓練を行い
難民保護に当たらせたのです。
今 平和を取り戻したルワンダ。
かつての難民たちはふるさとに戻り 暮らしています。
ほかの国の難民の受け入れにも
ルワンダは積極的です。
ここは UNHCRが運営する

難民キャンプの一つ。
隣国 コンゴの難民たちが
暮らしています。
不思議な名前の少女がいると
聞きました。
15歳の中学生。 一体 なぜ→
サダコオガタという名前になったのでしょうか。
母親のカンジガさんが→
内戦中だったコンゴから 命懸けで逃れてきたのは 1997年の末。
この時 おなかの中にいたのが
サダコオガタちゃんでした。
UNHCRの支援で 難民キャンプに到着。
無事に出産できたのです。
1998年に難民キャンプの
病院で娘が生まれた時の事は→
今も忘れません。
本当に 幸せな気持ちでした。
その時 緒方さんが
こちらのキャンプに来ていたんです。
それで 娘に サダコオガタという
名前を頂いたんです。
ここ ルワンダだけでは ありません。
アフリカでは 各地に→
何人もの サダコオガタちゃんが
いるといいます。
2000年 緒方さんは
この難民キャンプを 再び訪ねました。
内戦を乗り越えて生まれた
命との再会。
いくつもの世代を超えて

語り継がれる緒方貞子の記憶です。
緒方さんが作り上げた
難民支援の新しい仕組みです。
これは その訓練。
世界の どこで難民が生まれても→
72時間以内に駆けつける事を
目指します。
難民を救うのは 時間との闘い。
初動体制の強化が必要です。
こうした訓練には 日本を含め→
世界各国のUNHCR事務所の職員が参加します。
ふだんは デスクワークをしている人にも
訓練を積ませ→
いざという時の戦力に育てます。
UNHCRの組織の力を難民支援に向け最大限発揮させる。
それが 緒方さんのねらいです。
緒方さんが一番大切にしていたのは→
思いやりを持つ事。
つまり 何より難民の事を考えるという事でした。
UNHCRの中にも