2020/02/29(土) 21:00〜21:50 NHKスペシャル 東京リボーン(4)「巨大インフラ 百年残す闘い」[字]

それが 一体 何を残すのか。
今の俺たちには
まだ分からない。
2020年を迎え 日本の首都 東京の大改造
リボーンが佳境を迎えている。
今回のリボーンは 新たに造るのではなく
直し 残すための闘い。
全長320キロ 一日の交通量100万台。
人とモノの大動脈 首都高速道路。
全長の 実に76%が空中に造られた→
世界でも類を見ない空中回廊である。
1964年の東京オリンピックに
間に合わせて造られ→
そのスケールと技術力に 世界は驚いた。
だが 建設から半世紀余り→
今や満身創痍である。
損傷箇所は1年で4万に上る。
海面近くに造られた路線は
無残な姿となった。
今 頭脳と技の限りを尽くして
首都高を 百年後に残すための→
メンテナンス革命が
人知れず始まっている。
東京のシンボル 東京タワーでも
5年に一度の大修復が進んでいた。
空中300mで 塗装を全て塗り替え→
強さと美しさを守り抜く闘い。
足場の幅 僅か6センチ。
強風と雨が容赦なく襲う。
次々と巨大インフラが造られた


高度成長期から半世紀。
そして いつ起きても不思議はない…
造っては壊すという サイクルを脱却し→
既にあるものを どう守り
後世に残していくか→
日本は 大きな曲がり角を迎えている。
「シリーズ 東京リボーン」。
SFコミック「AKIRA」の
シンボルキャラクターと共に→
ネオ東京の誕生を目撃する。
第4回は 首都高と東京タワー。
高度成長期の2つの遺産
大修復に密着する。
首都高といえば
俺のホームグラウンドじゃねえか。
満身創痍とは聞き捨てならない。
これは 東京だけじゃない日本の未来が懸かった正念場の闘いだ。
よく見とけ!
海の上を駆け抜け→
高層ビルの隙間を縫い→
時に地下をも潜る。
その奇想天外な動きは
東京のカオスの象徴である。
首都圏の 人とモノの流れを担う
生命線である。
この日もまた ある特殊な任務を帯びた
車が出動していた。
維持作業車 インフラパトロールカー。
ひたすら周囲に目を凝らす。
調査員が何かを発見。


手元のボタンを押した。
その瞬間
搭載しているカメラの映像が→
箱崎ジャンクション近くの基地へと飛ぶ。
路面に 影を確認。 穴だ。
すぐさま 補修部隊に出動要請が飛んだ。
穴が開いていたのは池袋近くの合流地点。
縦横40センチ 深さ8センチ。
鉄筋が 露出している。
アスファルトの粉末を注ぎ込み
一気に穴を塞ぐ。
交通の流れを妨げないように
規制は最低限。
高速で走る車が すぐそばをすり抜ける。
10分もたたず補修が完了した。
首都高では パンクなどの故障車の数が
年間1万件に上る。
道路の損傷が原因の故障もある。
[TEL]
この日も
管制室には SOSが飛び込んでいた。
故障車が多いと 事故も増える。
毎日30件近く発生している。
事故が起きると
道路に損傷を与えることも少なくない。
終わりなき 悪循環が続いている。
首都高に損傷が多いのは→
地面の上ではなく
空中に造られているからだ。
ここは空中にある道路の裏側。

(車の走行音)
首都高では
一日100万台もの車が走行している。
しかも 大型車の割合が
一般道に比べて 5倍も多い。
その重みを空中で支える道路や柱には
すさまじい力がかかる。
なぜ 首都高は 傷みやすい空中に
わざわざ造られたのか。
1964年のオリンピック開催が決定し→