2020/02/29(土) 21:00〜21:50 NHKスペシャル 東京リボーン(4)「巨大インフラ 百年残す闘い」[字]


深刻な渋滞を解消するための高速道路が一刻も早く必要となった。
そこで 時間のかかる用地買収を

極力 避けるため→
その必要のない公共地
道路や川の上に 建設が進んだのだ。
その結果
現実離れしたような光景が出現した。
これは 首都高をロケ地に選んだ→
旧ソ連のSF映画「惑星ソラリス」。
未来都市を表現するために
首都高の映像が使われた。
世界が驚嘆した空中回廊。
しかし それこそが首都高の最大の弱点となった。
1年間に見つかる損傷は
4万か所にも上り→
ほかの道路に比べて 群を抜いて多い。
特にひどいのが1963年完成の1号羽田線である。
空港と都心を結ぶルートで
トラックの通行量が極めて多い。
更に 道路を痛めつけているのは


その立地。
東京湾の海水である。
海に接する道路の裏側を見てみると→
コンクリートは ひび割れ
剥がれ落ちてしまっている。
塩害が深刻で
いくら 補修を施しても追いつかない。
この状態で 巨大地震に襲われれば
大惨事となりかねない。
首都高は 今 道路を百年後に残すことを
目標に掲げている。
そのために
最も劣化の激しい場所を5つ選び→
丸ごと造り替える
リボーン計画を打ち出した。
いずれも高度成長期に造られ
建設から40年以上経過した区間である。
5つの中で 真っ先に
造り替えの工事が始まったのが→
あの1号羽田線。
塩害が最も深刻な 運河沿いの1.9キロメートルの区間だ。
その道路の大部分を
高い所では20メートルまで上げ→
海水から離し 塩害を防ぐ。
高潮や津波もここまで上げれば届かないはずだ。
しかし 工事は
道路を単純に上げるだけでは済まない。
羽田線には 湾岸線から合流する
八潮連結橋が架かっており→
この橋も架け替えなくてはならない。

これが 工事の中でも最難関である。
私たちは この難工事に密着した。
この工事の現場監督として白羽の矢が立ったのが→
建設会社の橋架けのスペシャリスト
[外:27F0C69A76BF571D6DC25DB389D20779]橋昌彦だ。
世界最長のつり橋 明石海峡大橋の
現場監督も務めた。
巨大なクレーンを巧みに操る技は
随一といわれる。
その[外:27F0C69A76BF571D6DC25DB389D20779]橋をもってしても困難なハードルが
今回 立ちはだかっていた。
八潮連結橋は モノレールの線路と
首都高羽田線をまたいで建設される。
そのため 作業は→
モノレールの運行が終了した深夜の2時間半だけしかできない。
そこで あらかじめ組み上げた→
長さ52メートル 重さ350トンの橋をクレーンでつり上げ→
旋回しながら 一発勝負で架け替える。
しかし 通常のつり上げ方だと→
旋回する時に クレーンが
モノレールの線路に近づき過ぎてしまう。
[外:27F0C69A76BF571D6DC25DB389D20779]橋が考えたのは
クレーンのブームを垂直近くに起こして→
旋回の半径を短くする作戦だった。
一つ間違えば クレーンと橋がぶつかるリスクもあるが→
1年間 シミュレーションを行い
方法は これしかないと決めた。
満月の夜。
橋 架け替えの時が来た。
夜10時 橋のつり上げを始める。

350トンが 浮き上がり始めた。
空中に浮かぶと
巨大な構造物は 風の影響を受けやすい。
バランスが崩れないよう
人の手でサポートしながら→
目的の高さまで つり上げていく。
[外:27F0C69A76BF571D6DC25DB389D20779]橋の指示で いよいよ→
クレーンのブームを
垂直に立て起こしていく。
橋とクレーンの距離が近づく。
接触すれば 大事故になりかねない。
橋が 大きく揺れる。
10時半 工事現場の下を走る羽田線に通行止めをかけた。
そして 深夜0時21分に
モノレールの運行が終わった。
ここからの2時間半で一気に橋を架ける。
旋回が始まった。
小回りの旋回で危険地帯をクリアする。
橋が 目標のポイントに到達した。
安堵した[外:27F0C69A76BF571D6DC25DB389D20779]橋だったが…。