2020/03/01(日) 02:07〜03:05 NHKスペシャル選 ホットスポット 最後の楽園(2)「ブラジル・セラード」[SS][字]


うっすら明るいですけどでも もう ほとんど暗闇です。
探しているんですが…→
今のところまだ 見当たらないですね。
<…と その時>
あっ すごい!
すごい 光ってる!
すごい いるよ これ。
すげえ 光ってる 光ってる!
ちょっと 一回 ライト 消して。
撮影は ちょっと待ってくれ。
一回 見せて。
おお 光ってるな~!

わあ でかい!
<昼間 土の塊でしかなかった
アリ塚の劇的な変化>
<それは
同じアリ塚とは思えない→
幻想的な輝きを放っていた>
いっぱい 光ってる!
これ これ。 これも それも。
<それにしても一体 何が光っているのか?→
近くで見ると 何か 虫のようだ>
蛍よりは 全然全体的に光ってますね。
あっ 奥に引っ込む。
<穴を出入りする 不思議な虫>
<その正体は…>
<幼虫は 一年中 アリ塚に居候し移動することはないという。→
それにしても
何のために光るのだろうか。→
その答えは すぐに分かった>


<近づいてきた羽アリを捕まえたのだ>
食べた 食べた。
これ これ これ これ。
<なんと幼虫は
光で羽アリをおびき寄せ→
捕らえていたのだ>
<美しくも危険な誘惑>
<気の遠くなるような時間の中で→
羽アリが現れる瞬間をひたすら待ち続けていた幼虫。→
羽アリを食べて栄養を蓄えると
3年ほどかかって成虫になる>
<そして 成虫になると 何も食べず
次の世代を残して死んでいく。→
なんという命の連鎖>
<美しく光るアリ塚。→
そこには 生き物同士の命を巡る
駆け引きがあったのだ>
不思議なもんですね これ。
<最初は ほとんど 生き物の気配が感じられなかった草原。→
そこに
これほど多くの命があったとは>
<怪しく光る夜の草原。→
それは厳しい環境で生き残るための→
壮絶な命の輝きだったのだ>
♪♪~
<そして
アリ塚は 日の出とともに→
元の何の変哲もない土の塊へと
戻っていった>
<生き物たちが つながり合い→

無数の命が輝いている草原セラード。→
しかし 今回の旅で→
僕は 悲しい現実を目の当たりにした>
ああ。 オオアリクイ かわいそう。
あ~…。
あ~あ。 かわいそうに。
<力なく道路に横たわるセラードの巨人>
<こうして
車にひかれる オオアリクイの数は→
年々 多くなっているという>
<それは 草原の開発と歩調を合わせている。→
灌漑技術の発達で 不毛の大地と
思われていたセラードは→
世界有数の穀倉地帯へと
生まれ変わったのだ。→
草原の隅々まで
道路が張り巡らされ→
作物を運ぶトラックは 増える一方だ>
<セラードの生態系を支えるアリ塚は次々と壊されていく。→
大規模な機械式農業にとって→
アリ塚はただの障害物でしかない>
<近年の開発で セラードの面積は→
50年前と比べ80%が失われてしまった>
<多くのアリ塚を求めて→
広い範囲を歩き回らなければならない オオアリクイ>
<太古からの約束を
守ろうとするがゆえの→
オオアリクイの事故>
<なんともやりきれない思いがした>
<かつては

日本の5倍もの広さを誇った→
ブラジルの大草原 セラード。→
しかし 現在 無数のアリ塚が立ち並ぶ風景が見られるのは→
エマス国立公園の中だけ。→
その面積はわずか 東京23区ほどしかない>
<あの オオアリクイの親子だ>
<子供は 随分大きくなり独り立ちも間近のようだ。→
子供もまた 1つのアリ塚から
少ししか食べない習性を→
受け継いでいくに違いない。→