◆何でやめたんですか。
◆ちょっと嫌になったんでしょう
ね。
◆嫌になった?
◆ずっとこうやってやって。
◆これがもう嫌になって、ほんで
?
◆仕事をやめて、
バックパッカーを長くやって。
◆うそでしょう。
◆遊ぼうと思って。
休憩しようと思って。
31のときに。
◆31のときに?
こんなん、理解できるか?
普通なら理解できない。
◆福岡から韓国に渡って。
◆飛行機で?
◆船で。
ずうっと船で。
◆何で飛行機に乗らへんの?
お金かかるから?
◆別に急いでないので。
◆すごいなあ~。
◆加倉さんの旅の最大のこだわりは、
飛行機を一度も使わないこと。
ガイドブックや時計すら持たず、
自由気ままに隣接国をバスや列車、
小さな船で渡り歩いたのだそうです。
◆お金はどうしてたの?
◆お金は、プログラマーをやってたときに
銀行に、たまってたみたいな…。
◆幾らぐらいですか。◆6年旅して、使ったのはね、
600万円ぐらい。
◆安い。
◆安いでしょう?
◆安い。
寝泊まり込みでしょう?
◆そうです。
◆寝泊まり込みでしょう?
◆ビールも込みです。◆ビールも込みで6年で600万
?
ちょっと待って。
あんた、6年も行っとったん!?
ええっ!?
何やそれ!
ちょっと疲れたちゃうやんか。
◆ちょっと休憩するつもりで始め
た旅でしたが、何と6年間で50
カ国以上を訪れ、世界一周をなし
遂げてしまったのです。
加倉さんの計画を立てない旅には、
さまざまな出来事が待ち受けていました。
◆まず韓国に行った?
◆はい。
◆ということは、釜山やね?
◆そうですね。
◆フェリーに乗ってね。
釜山からどこ行ったの?
◆中国、次、また船で。
◆ソウル、ソウル。◆あちこち。
◆ソウルで会ったんですよ。
ソウルで会ったんです。
◆ちょっと待って?
◆旅行中。
◆奥さんも旅行中?
◆はい。
◆奥さんはどこに?
◆私は、中国にそのときいて、
北京で働いていたんですよ。
日本語の先生してて、
日本に帰る前に、
ソウルに行って、ほんでちょうど…。
ちょうど。
◆ほんなら、この方が…。
あなた、そこで会うたの?
◆ドミトリーで。
あっ、私、中国にいるから、
遊びに来たらって言って、
ほな、次、中国に行くから、
じゃあ、
じゃあ、そこで会おうってなって。◆しばらくして、また中国に船で
渡って。◆ほんであなた中国いるでしょう
?
◆来たよって。
好きになったん違うの?
◆全然、そのときは何もなく…。◆しばらくして、またじゃあ、
次行くわって言って、
次々とアジアの国に進んでいって、
ヒマラヤ越えて。
◆ヒマラヤ?
ヒマラヤって、山でしょう。
死にそうになりました、高山病で。
◆あっ、そう。
◆もう死ぬと思いましたね、
そのとき。
息ができなくて…。
◆というかさ、素人でしょう?
登山家やないのにそれやったことが
間違いじゃないの?