>>なんかこう、芭蕉さんが見て
いた視点で、この自然の美しさを
感じられるというか。
さらにほかの場所でも、奈良時代
に創建され、
紫式部が源氏物語を起筆したとし
て知られる石山寺で詠んだ句は。
>>石山の石にたばしるあられか
な。
>>さらに、
近江八景の一つ、
浮御堂では。
>>じょう明けて、
月さし入れよ浮御堂。
>>芭蕉が生涯で詠んだ俳句のおよそ1割に及ぶ89もの句が、
大津周辺で詠まれているのです。
そんな大津で、
調査隊が最後に訪れたのが、
石山寺のすぐそばにある幻住庵です。
この山深い場所に、芭蕉は47歳
のとき、
4か月間滞在したそうです。
今もその名残が。
>>あっ、
そしてね、
とくとくの清水というのがね、
芭蕉さんが三百二十数年前に、こちらで暮らしてたときから湧いて
るといわれてるもんなんです。こ
こでくんで、
生活にも使っておられたと。
>>芭蕉さん自身が?
>>自炊もなさってたということ
がいわれてるんです。
じゃあ、上がりましょうか。
>>さらに山道を登ること5分。>>昔、実際に、芭蕉さんが住ん
でおられた、
4か月暮らしておられた幻住庵は、
この辺りにあったといわれてるん
ですね。
>>あっ、ここ。
碑がありますね。
>>この辺りに囲炉裏が会って、
幻住庵があって、
芭蕉さんのお弟子さんの身内が持
っておられたいおりなんですけど。
こちらにですね、幻住庵記、
ここで書かれた。これを書かれたときは47歳ぐら
いだったと思うんですけれども、
その3年、4年後ぐらいにはもう
他界されたわけですね。
だから、晩年の人生の考えといい
ますかね、
自分の人生を振り返っての思いみたいなことも書かれているんです
ね。
>>芭蕉が暮らした当時の建物は今は残っていません。
現在の幻住庵は、
1991年に、
芭蕉がここで暮らしてから300
年の記念に再建されたものです。
こちらを管理する幻住庵保勝会の
山田さんにお話を伺いました。
>>芭蕉さんがここで幻住庵の記
を書かれてますけれども、それを
読んでても、相当芭蕉さん自身は、
この幻住庵が気に入っておられたようですね。
>>そうですね。
今のようにこんなに木が生い茂っ
てなくて、
もうちょっと見晴らしが利いたようなんです。
>>琵琶湖、石山寺、瀬田川。
>>全部見えて。
>>芭蕉がここでの生活を記した
のが、
幻住庵記。
その最後に詠んだ句がこちらです。
>>まず頼む椎の木も有り夏木立。
>>この大きな椎の木のふもとで、私は今、休んでいますと。
芭蕉が尊敬している西行の詩に椎
の木を詠んだ歌がありまして、そ
れを芭蕉は思い出して、詠んだよ
うです。
>>芭蕉さんにとっては、西行さ
んが人生の手本ですから。
>>そうです、そうです。
>>西行さんを慕って、奥の細道も行くわけですからね。
>>そうです、そうです。
>>こちらでは、
一般の方から俳句を募集し、コン
クールなども行っています。
せっかくなので、私たちもここで
一句。
どんな句が出来上がるのでしょう
か。
>>今日の日に蕉をしのび秋の風。
>>しょうを、
芭蕉のことですね。
>>そうです。
>>続いて若一さん。
>>しゅうりんに座して忘我の幻住庵。
しゅうりんというのは秋の雨です