人間いいときはみんな一緒なんやって。
悪くなったときが、やっぱりその
人の本質が出るから、
その本質を見きわめなさいという
ことを
言われたんですよ。
小言、言いたいけど、
それをぐっと見届けようと、
それでぐっとぐっと、
何回も抑えました。
◆男のあるいは人として、
価値というのは、あかんときに見
えると。
◆出てくるんやって。
◆奥さんの辛抱強い支えのもと、
２人で将棋道場を切り盛り。
そして１０年後、エステサロンを開きたいと思った
奥さん。
その場所をめぐっても、いろいろあったようで…
◆どこか探したいと言ってたんで
すけれども、
やるんだったら、ここでやってく
れって。
◆だれか店番しとかなあかんねん。
◆店番って、
店番はご主人がするんちゃいます
のん？
◆ずっとおるわけじゃない。
これ道場を始めて、１年たってか
らすぐここだけではもたへんわけ
や。
どこか働きに行かなあかんわけや。◆だれが？
◆わしが。◆ほな、
これ店番がおらへんようになるや
んか。
◆そこらやらせておいたら、
ちゃんと、
やりながら、お客さん来たらお茶
出してくれるやん。
◆そういうことか。
◆これが二人三脚というんやか。
◆それ、二人三脚言うかなあ。
うまいこと言いまんなあ。
なかなかのもんでんな。
これ、けったいなぐあいでっせ。
横でぱちぱちってね、
将棋の音、聞こえながら…。
◆向こうに入っておっても聞こえ
るねん。
◆聞こえるでしょう。
その横で顔塗ってる、こうやって
るって、けったいなぐあいでっせ。また、来る人がまた変やわな。
この男ばっかりの社会のところに
ちょろちょろと顔を直しに来るわ
けでしょう。
◆女性が出入りすることによって、男性が、逆に言ったら、マナーが
よくなるんですよ。◆これまたおもしろいこと言うな
あ。
◆これは私が感じたことです。
◆結果的によかったんちゃいます
の。
◆二人三脚や。
◆もうええねん。
四文字熟語
何でも放り込まんでもよろしいねん。
ご主人と結婚してどうでしたか、
今、振り返ってみて。
◆割と
意外とかたいんですよね。◆奥さん、
今までの人生は、まあまあですわ
な。
◆まあまあです。
平平凡凡ですよ。
◆平々凡々って、すばらしいこと
を言いますわな。
◆四文字熟語やな。
◆平々凡々や。
ご主人はどうですか、
こんなすてきな奥様と一緒になって、
やっぱりよかったなって思います
？
◆よかったですよ。
◆どういうところがよかったです
か。
◆………僕は…。
しかし、難しいことを聞くもんで
すなあ。
◆いや、そうなんですよ。
◆詰め将棋をやっているほうが何ぼか楽。
悪いところがないからな。
◆悪いとこないから、
いいわけや、ほかは。
◆そういう事やねん。
◆長いことつきあって、
寄り添って。
ほな死んでからもまた一緒におり
たいですか。
◆そうですね。
◆早かった。
早かった？