いかなと。
>>それはやっぱり、
その包丁じゃなきゃ嫌なん?>>そうなんですよ。
その包丁がもう、
母の唯一の形見になってしまうんです。
>>形見?
お母さんは?
>>ここ22でオープンしたんで
すけど、
その1年前に亡くなっちゃったん
です。
>>えっ!そうなんですか。
一人前の料理人になるのを誰よりも楽しみにしていた母、
息子の独立を前になんと54歳と
いう若さで亡くなったのだそうで
す。
お母さんに出したかったなあっていう料理とかあったんじゃないで
すか。
>>一番最初に覚えた料理が、だし巻き玉子やったんです。
だし巻き玉子はなんとか食べても
らえたんですけれども、
まだ就職してすぐだったんで。
>>だし巻き玉子を食べてもらったときはなんて言ってました?
>>おいしいとか、
そんなんよりも上手に出来てるって感じで。
形きれいみたいな。
>>なんやろうね、その表現ね。
>>煮つけのほうも食べてほしか
ったなあって。
>>お母さん、煮つけも大好き?
>>大好きだった。
>>ぜひここで食べてほしかった
ね。
>>そうなんですよ。
>>そうか。
今となっては2本の包丁が母の唯
一の形見。
なんとしても壊れたてっさ包丁を
直したいのだそうです。
ーこちらでございます。
>>へー。
出刃包丁?
あれ?
これが?
>>これがてっさ包丁になるんですよ。
>>どうなってるの?これ、
持つ所。>>折れちゃったんですよ。
このつなぎ目のところから。
>>ここ?えっ?折れたの。
>>一回折れちゃったんです。
>>折れた時点でどういう対処したの?
>>鉄工所の友達に付けていただ
いたんですけれども。
>>折れたものを、
こう付け足してるんや。ほな付けたら、あとは柄に入れた
ら?
>>直るって思ってたんですけれども。
>>そうですよね。
そうじゃないの?
>>そもそもの規格が違うみたい
で。
>>規格か。
友達に溶接してもらったてっさ包
丁。
あとは柄に入れれば包丁としてよみがえるはずだったのですが。
とはいえ、堺市は包丁の街。
近くで包丁を直してくれそうな所を探し、電話をしてみることに。
使っている包丁が壊れてしまいま
して。
>>はい。
>>柄の部分が今、ない状態なんですね。
それをなんとか直したいんですが、
持っていってもよろしいですか?
>>あっ、分かりました。
お持ちしていただければ。>>いいですか?ありがとうござ
います。
>>いえいえ。
>>なんか、
明るい感じで。
かなり協力的でしたよ。
>>まさか、こんなことになると
は。
>>これは期待が持てます。早速、包丁を持って向かうことに。
やって来たのは、
刃物の町、
堺で1901年創業の實光刃物。
店内にはプロ用から一般家庭用の包丁までおよそ1万点。
世界に誇る鍛治技術で、
一本一本丁寧に仕上げているのだそうです。
亡き母に買ってもらった思い出の
てっさ包丁。
早速、見てもらうと。
これ、
てっさ包丁。
これを直していただきたいんです。
>>これは、
たぶんもう一度溶接をしないといけないと思うんですよ。
>>溶接、なんでですか?
もともと折れたんですよ。
>>溶接のしかたが間違えてるん