2020/03/21(土) 02:10〜03:00 NHKスペシャル選 ホットスポット 最後の楽園(5)東アフリカ・神秘の古代湖[SS][字]


産卵のために岸へと戻ってくる。
子供を口で運ぶ クーヘ。
実は この行動から→
更に高度な子育ての方法が

発達したと考えられている。
その進化した形が これだ。
奇妙な行動を始めた。
求愛のダンスだ。
こうしてオスは メスに産卵を促す。
卵を産むと


オスが すかさず精子をかける。
驚きは このあとだ。
メスが卵を食べたのだ。
実は 本当に食べた訳ではない。
口の中で 卵を守るのだ。
1週間後 小さな魚が出てきた。
口の中で孵化した稚魚たちだ。
外で餌を食べるためだ。
敵が近づいてくるといちもくさんに 親の口へと戻る。
口の中で子育てする方法。
それは 外敵が うようよしている環境では 安全な手段だ。
驚くべき事に 全てのシクリッドが→
この 奇想天外な子育てをする湖があるという。
♪♪~
タンガニーカ湖の南にあるマラウイ湖。
やはり 200万年以上の
歴史を持つ古代湖だ。
マラウイ湖には 800種以上の
シクリッドが生息している。
その全てが
口の中で子育てをするという。
親の周りを泳ぐ子供。
一気に 口へと吸い込んだ。
あっちでも こっちでも。
親は およそ1か月もの間→
何も食べず
口の中で子供を守り続ける。
しかし なぜ ここには→
ほかの方法で子育てをするシクリッドが 全くいないのだろうか。
♪♪~

マラウイ湖のシクリッドを 20年にわたって研究している人がいます。
進化生物学者のトム・コーチャー博士です。
DNAの分析からマラウイ湖のシクリッドの祖先は→
タンガニーカ湖に起源を持つ→
たった一種である事が分かりました。
マラウイ湖に住む800種の祖先は
たった一種だというのです。
一体 なぜなのでしょうか。
今から300万年前大規模な地殻変動が起き→
タンガニーカ湖の水が流れ出しました。
そして 新たに出来た大地の裂け目に水がたまり→
マラウイ湖が誕生します。
その時 タンガニーカ湖からマラウイ湖に移り住んだシクリッドがいました。
それが 口の中で
子育てする種類だったのです。
それは
偶然の出来事だったのでしょうか。
研究者たちは
160kmもある長旅を乗り切るには→
口の中で子供を守る方法が
有利だったと考えています。
そして マラウイ湖では
たった一種が→
200万年の間に800種へと
進化を遂げたのです。
これは 種が誕生するスピードとしては
際立って速いものです。
例えば 人とチンパンジーが
共通の祖先から分かれたのは→
700万年前だと考えられています。

その僅か3/3ほどの時間で→
シクリッドたちは
800種に分かれたのです。
世界の科学者たちが注目する
爆発的な進化。
一体 何が
その原動力となったのでしょうか。
その答えは
過密な環境がもたらした→
激しい競争です。
湖で最も 魚の密度が高い浅瀬の岩場です。
日当たりのよい岩には
藻が育ち 食べ物が豊富。
隠れがもある岩場は
魚にとって絶好の住みかです。
しかし マラウイ湖では→
こうした条件のよい場所は限られています。
湖は 大地の裂け目にあるため→
岸が急激に落ち込んでいます。
そのため 日の当たる岩場は→
岸沿いの狭い範囲にしかありません。
普通 こうした環境では→
食べ物を巡って激しい争いが起こります。
ところが こちらでは→
シクリッドたちが仲良く 藻をつついています。
♪♪~
その秘密は 魚たちの食べ方の違いにあります。
この魚は 口を大きく開き
岩をなめるように食べています。
一方 こちらは 岩の表面を