2020/03/21(土) 02:10〜03:00 NHKスペシャル選 ホットスポット 最後の楽園(5)東アフリカ・神秘の古代湖[SS][字]


かじり取るようにしています。
違うのは
食べ方だけではありません。
食べているものも異なります。
岩をなめるタイプの顎は 大きく開き歯は くしのような形です。
この歯で 藻の表面に生えた

小さな藻類を すき取ります。
一方 表面をかじるタイプでは
顎や歯の構造が全く違います。
顎は あまり開かず→
歯は 藻をかじり取るのに適した形になっています。
シクリッドたちは 種類によって→
食べ物や食べ方が少しずつ異なっているのです。
食べ物を巡る競争で→
顎や歯の構造は短時間で変化しました。
それが シクリッドが
急速な進化を遂げた理由なのです。
もともと 顎が柔軟性のある構造を
備えていた シクリッド。
口の構造を巧みに変え
限られた資源を食べ分ける事で→
多様な進化を遂げる事が
できたのです。
数百万年の長い歴史を持つ
アフリカの古代湖。
それは 人間の想像を超えた
多様な魚たちを生み出してきた。
そして ここに もう一つ→
シクリッドと並んで驚くべき行動を見せる魚がいる。
ナマズだ。


(雷鳴)
ナマズが活動するのは 夜。
湖では 漁の真っ最中だ。
人々が取っているのは
光に集まる習性のある小魚。
漁師が操る網の下で
その小魚を狙う者がいる。
大きなナマズだ。
ふだんは 深い場所にいるが→
夜になると小魚を求め
浮上してくる。
更に すごいやつが現れた。
体長1mになる巨大ナマズ…
銀色に輝く流線型の体。
ナマズというよりまるで サメのようだ。
湖底では シクリッドたちが
眠りについている。
まぶたがないため
目は閉じていないが→
無防備に漂っている。
♪♪~
カンパンゴは ヒゲに触れた魚を
次々と飲み込んでいく。
夜明けとともに 世界は逆転する。
すり鉢状に掘られた穴の中心。いるのは カンパンゴのペアだ。
下で 何かが動いている。
子供だ。 体長は 2cmほど。
カンパンゴは 子育てをする
珍しいナマズだ。
巣の周りには

シクリッドが集まっている。
子供を狙っているのだ。
夜 シクリッドを襲っていた カンパンゴ。
今度は 一転
敵から子供を守る立場となる。
競争の激しい湖では→
本来 子育てしないナマズでさえ子供を守るように進化したのだ。
しかし 大きな謎がある。
敵に囲まれているため 子供たちは巣から離れる事ができない。
一体 何を食べているのだろうか。
その謎を探るため特殊なカメラを セットする事にした。
用意したのは 水中のリモコンカメラだ。
カンパンゴは 警戒心が強く→
人が近くにいると
本来の姿を見せてくれない。
そこで 巣の前に カメラを置き→
離れた場所から その一部始終を観察しようという作戦だ。
いつ 何が起きてもいいように
24時間態勢。
観察は 1か月以上に及んだ。
夜 カンパンゴが いつものように獲物を探しに出かけている。
子育ての最中
狩りをするのは メスだけ。
オスは 巣で 子供を守っている。
メスが 狩りから帰ってきた。
すると 子供たちが
集団で追いかけ始めた。
そして 腹びれの近くに
集まってきた。
急に 動きが激しくなった。

よく見ると 周りに白い小さな粒が見える。
これは カンパンゴの卵。
なんと メスは卵を産み子供に与えていたのだ。
世界で初めて リモコンカメラが捉えた
貴重な映像だ。
自分の卵を子供に与える魚は→
世界でも カンパンゴしか知られていない。
まるで 哺乳類が
子供に ミルクを与えるかのような→
不思議な行動だ。