てくれて、上に立って、監督です
から、指示を出すんです。
その人がこう言いました。
すごみと軽やかさがありますね。
すごみと軽やかさってね、これ、
関西の人なら分かると思うんです
けど、これ、
怒り方です。
これも年取ってくると、難しいで
すよ。
だから、
どんどんどんどん感情のたがが外
れて、大声出す、
それはもう単に、困ったお年寄と、
こういうことになっちゃうわけで
すが、これ、どういうふうにやる
かというと、
先ほどの一番怒らせるというのは、
ご主人関係でございますね。
これはテレビご覧の方もそうです
ね。
やっぱりどんなに円満に見えてて
も、
ある日見つけたなんかへんなお店
のマッチとかね、そういうのあた
りから。
>>マッチですか?
>>マッチはもう古いですよね。
>>うちは昭和ですから。
そういったあたりから、
なんか香水の匂いがするわとか、そういうあたりから家庭は音を立
てて崩れていくわけでございます
が、そのときもね、見てください、
45年結婚して、
ほぼ別居ですから。しかしながら、
その相手の方に対して何を言った
かというと、家庭を顧みない、
女を作る、これはロックじゃない、
地道な日常生活ができたとき、
本当のロックが生まれると。
分かったようでよく分からないコメントなんですが、これは私から
言わせるとこうですな。
いけずです。これね、関西の方、ちょっと難し
いかもしれない。
いけずってね、
辞書を引くと単なる意地悪って書
いてあるんですけど、これね、関
西人はよく分かる。
普通のいけずじゃないんです、意
地悪じゃないんです。
ちょっとユーモアがあって、
ちょっとシニカルで、皮肉が利い
て、
だからさっきもご主人が捕まった
ときに言ってましたね。
70超えてるんですから、自分で
謝んなさい。
謝らないんですかと、
こう言った。やっぱりこれはね、
ちょっとぴりっと凄みがあるんで
す。
でも、
相手を土俵際まで追い詰めない軽やかさがある、こういった怒り方
がうまいですね。
>>こういうのが一番効きますよね、靖さんね。
>>でも結局ね、どっかやっぱり、
内田裕也さんのことを立ててるというか、男として。
そのあとにもう一発くるでしょ。
プライドが傷つくっていう、
そこも義理。
>>本当に旦那様のことを愛してらっしゃいますよね。
>>なんか絶妙な関係ですよね。
>>世間一般から見るとね、
樹木さんが大声で怒ってないのに、
やっぱりご主人、ええかげんにし
なはれって、こういう感じになる
わけですね。
だからやっぱりね、うまいんです。
>>うまいんだ。
>>さあそして、
やっぱり樹木希林さんを語るときに病の話は避けて通れない。
確かにがんの話も出てきますが、
私はたぶん、
一番普通にわれわれ生きててショ
ックなのが、
61歳のとき、
左目失明されてるんですね。これはやっぱりそのがんもある程
度、
この人生の先を考えないといけないという怖さがあるけれども、
今まで使えてた体の機能が使えな
くなるっていうのは、
これは本当に役者さんでなくても
つらい。
そういったときに、こうおっしゃ
ってるんですよ。
けんかする体力がなくなって腰が
低くなったって。
やっぱりこれはね、
これは生稲さんもさっきおっしゃってましたが、
受け入れるのは難しいけれども、