◆茶筒職人の
八木さんでしょうか?
◆そうです。
◆いや、バイク。
おまえのせいじゃないけど。
◆ちょっとブーって…。
◆バイクが…。
◆こちらが、今回のスゴ腕ワーカ
ー!
開化堂の六代目、八木隆弘(やぎ
たかひろ)さん。
◆ちょっとスティーブ・ジョブズ
じゃないですか。
ダンディズムが半端ないですよ。
職人さんのイメージが違うわ。◆こういう感じの方でしょう?
◆千利休感でしょう?
◆帽子とかかぶってへん。
◆では早速、八木さん自慢の茶筒
を見せていただきます。
◆おしゃれ。
すげえわ、
これは。
◆ここ、いいですねえ。
正直、昔のというか、おばあちゃ
んとか、
主人、おじいさんの…。
現代の感じですね。おしゃれですよね?
◆確かに。
◆最大の特徴は、どこにあるんで
しょうか。
◆継ぎ目で合わせてもらったら
すっと下がってくるぐらいは。
◆これね。
◆すごいですよね。
◆これが、機械ではなく、手づくりだからこそなせる八木さ
んの技。
しかし、八木さんには、別のこだ
わりが。
◆ほんまは逆なんですよ。
あけた瞬間の気持ちよさを狙って
僕らはつくってるんです。◆なるほど、何か勝手に
すごさ、すうって…。
こっちやと。
みんなが、あけ閉めしやすいよう
に、
気持ちいいように気密性がええよ
うにつくったら
逆に落ちてくるようにできたみた
いな。
◆結果、そうなったと。
◆あけた瞬間に、
もちっとして、ふわっと。
◆なるほど。ぽんというやつ、あんまよくない
んですね、ほんなら。
◆あけ閉めしにくいから、
ポンッと言うだけで。
◆閉めて返せよ。
何で、あけて渡すねん。
すごい。◆すうって行きますね。
◆何の力も要らないです。
◆100年以上前から変わってないんです。
◆100年以上前のやつがあるん
ですか?
創業時の茶筒。
◆そうなんです。◆これ、さわっても大丈夫なんで
すか?
◆大丈夫です。
◆これ、創業時!?
◆これ100年はたってますね。◆全然変わってないじゃないです
か。
◆明治から受け継がれる技…。
そのつくり方は何一つ変わってい
ないのです。
◆これは何ですか?
◆これは同じものです。◆なるほど、なるほど。
これ、さわり過ぎて、
この色になったということですか!?
◆そうです、そうです。
毎日、手でなでてもらうと
ええ味が出てくるんです。
◆絶対に色…。
ウソでしょう?
こんなきれいに出ますか?
◆これも、八木さんがつくる茶筒
の特徴の一つ。
時がたつごとに、新たな美しさが
生まれ
いつまでも飽きることなく人々の
暮らしを支えています。
そんな奥深い魅力を持つ茶筒だか
らこそ、
明治8年からずっと愛され続けて
いるのです。
◆この茶筒を
開発したということですか、
そもそもが?
◆そもそも、初代がこれを開発しました。
◆八木さんなんですか?
◆初代がおらんかったら、
茶筒は、ないということですか。