駆使して、
それで修正をかけていく。
4枚それぞれが微妙に違うんです
ね。
そこのその微妙な違いというのは、
古代のオリジナルな違いなので、
それを生かした形で、
最低限の修正をかけて、
形を整える。
>>今回は東京藝術大学の力を借
り、
現在の水煙と全く同じものが作れ
るように、
3Dデータを修正していきます。
難しいのは、
痛みが激しいところ。
>>この穴は埋めるという方向で、
いいわけですね。
>>元の水煙には、穴が開いていたり、
傷んで割れて接着した跡なども見
受けられます。
そうした部分は、コンピューター
上で直し、穴や亀裂を埋めていく
のです。
>>こういうふうにちょっとずつ埋めていって、平均化しちゃえば、
穴があったところがなくなっちゃ
う。
>>そして、実際の鋳造は、日本
有数の技術を持つ、
富山県高岡市の銅器組合が担うこ
とになりました。
理事長の梶原さん。
水煙は大きく、厚みがあり、
再現は容易ではないといいます。
>>これだけの肉厚の鋳物というのは、大変なんですよ。
これだけの仕事を1300年前に
職人がしたというのは、本当にす
ばらしい。
>>400年の伝統を誇る高岡の鋳物。
食器など、小さいものから、
大きな釣り鐘まで、
さまざまな銅製品を作ることがで
きる工房が、数多くあります。
こちらの工房が担当することにな
ったのは、
鋳型のもとになる原形作り。
まず預かった3Dのデータを、
機械にかけやすいよう分割します。
>>かなり高い再現度がありまして。
0.5から0.3ミリっていう、
細かいピッチで、削っていくんで、
再現度はもう、
ほぼ99%ぐらい近い再現になると思います。
>>データを機械に送り込むと、
樹脂で出来た板が、
水煙と全く同じ形に自動的に削ら
れていきます。
最後に手作業で組み上げていくと、
原型が完成しました。
次に原型は、
鋳造を行う工房に送られます。
原型を鋳型に使う特殊な砂の中に
埋め込んで、
正確に型を取るのです。
>>人口砂といって、すごい細かい砂なんですね。
今、これ柔らかいんですけど、
20分か30分かぐらいすると、
固くなって、そして翌日になった
ら、かちかちになってですね、
銅を入れても壊れないような強度
になります。
>>天人の表情や指先など、
細かいところまで溶けた銅が行き渡るように丁寧に型を取らなけれ
ばなりません。
原型を外すと鋳型が完成。
これを上下2枚作って組み合わせ、
隙間に銅を流し込みます。
水煙は、
通常、
この工房で作る鋳物よりかなり分
厚く、熱く溶けた銅を流し込んだ
とき、鋳型が損傷するおそれがあ
るといいます。
>>相当、
湯の圧力がかかるので、漏れないように、
しっかり止める。
>>出来上がった上下2枚の鋳型を、ずれないよう、
慎重に合わせて、
ボルトでしっかり接着します。
銅は元の水煙と全く同じ成分に調
合したものを使います。
現在の銅とは成分が異なるため、
溶かす温度も変えなければいけません。
この日は、
薬師寺の関係者、
銅器組合の梶原理事長、
水煙の調査をした村上さんも駆けつけました。
いよいよ、
熱して溶けた銅を鋳型に流し込みます。
鋳型の隅々まで銅が行き渡るよう、