見聞きして膨らませているということなんですね。
山本≫深夜のバラエティー番組
なんかを山のように見て
こんな感じかなと思っています。
大吉≫今だと第7世代とかを見ているんですね。
近江≫ストーリーに
戻りたいと思います。
再び都に、親の問題が
降りかかってきます。
母親を看病しつつ
無理して働いていた父親が
今度は倒れてしまいました。
家計は危険な状況に陥ってしまいます。
さらに仕事でも
問題が起きてきます。
職場で上司から
セクハラを受けてしまうんです。
一方で
正社員になりませんかという話も
舞い込んできて
とにかくいろんなことが起こって
ぐるぐるぐるぐる
悩んでしまうんですよね。
そもそも32歳を
主人公にしようと思ったのは
どうしてだったんですか?
山本≫そんなに深い意味はないんですけれど
それぐらいの年代の方を書くのが
いちばん好きというのも
ありますし
32歳の女性の親の世代も
書きたかったので
ちょうど私の世代になるんです
けれど私の世代の娘というと
近江さんぐらいの年の女の子…
女の子と言ったらいけないか
女性なので
それで年齢を32歳という女性を
主人公にしました。
近江≫32歳って
私ことし32歳なんですけれど
本厄なんですよ。
いろんなことが起きるから
本当に絶妙な年を
描かれたなと思いました。
山本≫転機になるというか。
近江≫公私ともに悩んでいる方も多いのかなと思います。
大吉≫主人公の都さんは
悩みが多すぎる気がして
日常でこんなにたくさん悩みを
抱えていらっしゃる方は
たくさんいらっしゃると
思いますけれど
いざ小説になろうとすると
全部は解決するのは難しい感じがしますね。
山本≫長い小説なので
主人公の女の子が一つ一つの
悩みをロールプレーイングゲーム
のようにやっつけて進んでいくというふうに書けば
読者の方は
飽きないんじゃないかなと
ゲーム世代の
若い読者の方が飽きないんじゃ
ないかというふうに思いました。
大吉≫あえてこんなふうに困難を
作ったということなんですね。
近江≫さて
小説の中には都と
貫一のこんな会話がありました。
近江≫自転しながら公転する
というのはこの本のタイトルにもなっていますけれど
都たちの世代を象徴するような
ことばですよね。
山本≫そうですよね。
都たちの世代で
なくてもみんな
忙しくいろんなことを回しながら
生きているのかなと思います。
華丸≫貫一もいいことを言いますね。
山本≫そうですね。
大吉≫たくさん本を読んでいますからね。
華丸≫回転ずし屋にいたから
ということではないですね。
山本≫回転ずしで働いていました。
お父さんがおすし屋さんを
経営していて
息子に一貫、二貫の貫一という名前を付けました。
大吉≫僕らのときには親がいて
きょうだいがいる家庭が
多かったじゃないですか。
2人きょうだい3人きょうだいと。
最近、都もそうですけれど
一人っ子となってしまうと
なかなか…
まず親をどうするのかという問題は1人に降りかかってきますね。
ところがこの世代の多くが
抱える悩みかもしれませんね。
近江≫後半、都と貫一の間に決定
的な出来事が起きまして
2人の関係も