◆どういうこと？
◆まだオープンしてまだ１０カ月
ぐらいで。
◆えっ、マジで？
◆はい。
◆何屋さん？ もともと。
◆もともと工具屋を１人で経営してて。
例えばペンチとか、レンチとか、
あんなものを
卸で売ってるような仕事。
◆ここに？
◆はい。
◆跡形もないやん！
◆そうなんですよ。
◆いやいや…。
◆小売屋をやめたんやな。
◆やってるんですよ。
◆どこで！？
◆２階で１人でやってて。
◆２階で？
２階でやってて、
ここも何もないの、
工具は。◆何にもなくて、
誰も来ないし。
それは何でなんかなって、
ずっと考えておって。
◆卸でしょう？
卸やったら来ないわ、お客さんは。◆そうですよね。
◆笑ってる場合やないやろ。そうやろ？
来ないのに、来てほしいと思って
たんかいな、誰か。
◆そうですね。
１人なんで、
ずっと寂しいというか、だんだん
だんだん気持ちが落ちてくるとい
うか。
◆さびしんぼうかいな。
◆まあ…。
認めたくはないんですけど、
結局寂しがり屋なんかな。
◆寂しがり屋なんや。
１０カ月前から余りにも人がけえ
へんから。
◆最初店をやるつもりは全くなか
ったんですけど、
アメリカンプレートを飾り始めた
んが最初やったんですけど。
ガレージ、殺風景で何にもなかっ
たので。
◆ここは車を置いておったん？
◆そうです。
車を置いてたぐらいですね。
◆なら、車置いておったら
誰も入ってけえへんわ。
◆そうなんですよね。
◆それが悲しかったん？
◆そうです。
それで車をどけて、
で、プレートを何枚か張り始めたら、近所の人が初めて来てくれて。
何年前から
いてんの？とか言われて、９年前からいてますという話をして。
◆あんたここに９年もおったん。
誰も人がけえへんから寂しい思いをずっとしてて、
とうとう我慢できなくなって…。
◆我慢できようになってもうて、
何か策がないかなと思って。
◆何とか人が寄ってこないかなと思って。
おもろいなあ！
◆９年間、ひとりぼっちで
卸の仕事をしていたという宮下さ
ん。
そんな寂しさを紛らわすために
飾ったアメリカン雑貨がきっかけで、
ご近所さんとの交流が生まれたそ
うです。
それが余りにうれしく、どんどん
雑貨を集め、
わずか１年足らずで
７０００点以上の商品をそろえてしまったんだそうです。
◆これ１０カ月で集めたん？
どうやって集めるの？
◆来てくれるお客さんの
こんなんないのという声に、どうしても応えたくなって。
がっかりされたら一番かなわんか
なと思って。
◆がっかりされたら、
話し相手が少なくなるもんね。とにかく１回話しかけられたら、
２回、３回と来てもらうためには、
それをそろえなあかんと。◆そうです。
◆さびしかってんなあ。
◆そんな宮下さんはもともと高校球児。
どうやら、そのころから寂しがり
屋の片りんはあったようで…。
◆高校野球、ほんなら
甲子園とか出てたん？◆甲子園は出てないですけど。
◆ピッチャーとかありますやんか。
バッターとか。◆ランナーコーチですよね。
声だけはよう通ってたんで。
それでもうずっとベンチ入り。◆ベンチ入りって、
メンバーやなかったん？