◆補欠。
◆うれしかったん?
◆うれしかったですよね。
みんないてるし。
◆寂しがり屋やから、みんなおる
からええねんね。
たとえそれがスターのバッターで
あろうが、ピッチャーであろうが
関係ない。
みんなおったらうれしいんや。
◆みんなおったらうれしいんです。
◆メンバーになれんかったら卒業
したら、だめになっちゃいますよ
ね。
卒業して。
それでどうしたんですか。
◆音楽に行こうと思って。
◆とにかくバンドやったらファン
もくるし、打ち上げもあるし、
寂しくないわな。
◆ほんでボーカルをやるって言っ
て。
◆やったん?
声は出るもんな。
◆声は出ますから。
◆グッドベターベストというグル
ープを…。
◆何人編成やの?
◆6人。
◆多いなあ。
うれしいなあ。
多いのがうれしくて。
◆これええグループやなかったん
?
◆ええグループやったんですけど、
だんだんお客さんが減ってるなと
いうのが目に見えて。
◆動員が?
◆ようさん友達がおるし、ええんちゃうの?
◆でも、見てくれる人、どうです
か、円さんは、いなくなったら…。
◆これ俺はもう、一番身にしみて
知ってるよ。
何笑うとるねん、あほ!
◆そうですよね。
◆解散したら、
◆仕事をせなあかん。
父親が立売堀というこの町で工具
を売っている仕事をしてて。
◆それでここの事務所を預かった
ということ?
◆そうです。
最初は一緒にやりよったんですけ
ど、
おやじが何年かしたら
他業種に行くという話になって、
ここを閉めるということになったときに、1人でできるんちゃうか
なと思って。
そのときの野望としては、何人か
人を雇ったりして、楽しい空間を
つくれるかなって。
◆おい、おまえ、注文来てんでと
か、
きょうの売上、そうか、ご苦労さ
んとかって、
わあってなると思ってたんや。
それがなかったん?
◆なかったです。
売り方が下手くそなんか、もう…。
横ばいからどんどん落ちていく一
方で。
◆業績が落ちていって。
◆周りに人がいっぱいだった時代から
一転、9年間の孤独な時代を経験
した宮下さん。
そんな負の人生を変えてくれたの
が
アメリカン雑貨。
◆しかし、そうやって
アメリカンプレートを1つつくっ
たら
おじいちゃんが来てくれて、
その次誰が来たん?
◆その次は、お子さんたちですね。
◆よう覚えてんな。来た人全部覚えてるなあ。
いうたら、
無人島に人が来てくれてうれしいから、
絶対忘れへんねんや。
◆そうですね。
◆売れる売れないじゃなくて、
人が来ない坊主の日が嫌やねんな。◆それは悲しいですね。
◆いうたら、冷やかしでもええか
ら来てほしいんや。
◆そうですね、全然!
◆どうする?
冷やかしが200人ぐらい来たら。
◆いや、またそれでも、9年間のことを思い返したら、
そっちのほうがええかなと思いま
すね。
◆恐れ入りましたわ!