>>裏に見えるのがてんぐ山といわれる小高い山ですけれども、
8世紀の中ごろに聖武天皇が登ら
れて、和歌の浦を一望して、
すばらしい景観だと感嘆したとい
うね。
>>聖武天皇はこの景観を守ろう
と役人を遣わすなどし、それ以降、
天下の景勝地として知られるよう
になりました。
その感動を和歌に詠んだのが、同
行した歌人、山部赤人。
和歌の浦に潮満ち来れば潟をなみ、
葦辺をさしてたずなきわたる。
この歌をはじめ、
多くの歌人にも称賛された和歌の浦は、
やがて和歌の聖地として知られる
ようになりました。
こちら、
玉津島神社にはそんな和歌の聖地ならではのものが。
ーおののこまちそでかけのへいと
いうね小野小町さんがここに来て、
この塀に袖をかけて、歌を詠んだ
というね。
こちらにはですね、
三柱の女神様が祭られているんですけれどもね、その中心になって
いるのが、和歌の神様なんですよ。
>>実はこちらにまつられている
のは、和歌に優れ、絶世の美女と
いわれた、
そとおりひめのみこと。
古来から和歌の上達を願う多くの
人たちに愛されてきた神社で、
現在も歌会が行われ、数々の歌が奉納されています。
今の社殿は、1606年に再建さ
れたもので、本殿は山の斜面にあ
り、拝殿からその姿を確認するこ
とができます。
そして拝殿の中にも、
和歌に関する貴重なものが。案内していただいたのは、
権禰宜のあちきたさんです。
中に入らせていただくと。
上に。
>>これね、
三十六歌仙のあれですね。
>>さようでございます。
>>こちらは小野小町や、紀貫之
など、
三十六歌仙と呼ばれる平安時代の
歌の名人、36人の顔と歌が描か
れています。これを奉納したのは、
紀州徳川家の初代藩主、徳川頼宣。
>>藩主もやっぱりその道にはか
なり励んでおられたわけですか?
>>そうですね、
もうそのころというのはやっぱり和歌というのが文学の中心だった
といわれています。
>>そして江戸時代に奉納された
というこちらのみこしは、
聖武天皇の故事にならって行われた祭しに使われていたそうです。
時を超え、文化の中心地として育
まれてきた和歌の浦。
>>この和歌の浦の景観があって
和歌が生まれたという。
>>そういうことですね。
>>実は和歌山という知名も、和歌が出発点。
和歌の浦の地名にはもともとこち
らの和歌が用いられていましたが、
和歌の聖地になったことで、
現在の和歌の浦の地名へと変化しました。
続いては絶景を臨める菅原道真ゆ
かりの古社。
調査隊は玉津島神社から徒歩15
分ほどの、和歌浦天満宮へ。
>>和歌浦天満宮は、三菅廟とい
われてね。
>>三菅廟?
>>三菅の菅というのは、
菅原道真公のすがという字で、大
宰府の天満宮、それから京都の北
野天満宮ね、
そしてこちらの和歌浦天満宮を合わせて三菅廟ということで、日本
で有名な天神信仰の…。
>>そうなんですね。
>>学問の神様として知られる菅
原道真を祭る由緒ある神社。
鳥居の正面に立つと、独特の景観
が。うわー。
またえらい高い所にありますね。
>>この景観が、私大好きです。
山岳神社みたいな、独特の魅力が
ありますでしょ。
あの上に楼門が見えますけど。
あそこから省みた、和歌の浦の光
景がまたすばらしいといわれてま
すので、行ってみましょう。
>>上りましょうか。
ということで、境内の中へ。
中に入ると早速、天満宮ならでは
のものがありました。
>>狛犬ならぬ狛牛がいますでし